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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
ピエロ
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狙撃手シノンが最初に感じたのは違和感だった。
《へカートU》の狙撃を悠々と躱し、マントを剥ぎ取った標的の姿。真っ赤な装備に、あれは道化師の仮面?
「第一目標成功。第二目標失敗」
淡々と無線に報告の声を吹き込みながらも、視線はスコープのなかの人物から離さない。チリチリとうなじを焦がすようなこのプレッシャー。ーーなぜだ。奇妙な格好といい、無防備な構えといい、まるで素人にしか見えないのに。
『了解。アタック開始!......ゴーゴーゴー!』
仲間の声は半ば聞き流す。
シノンは先程《ピエロ》と目がった時の印象を思い出していた。ぬら、と光る怪しい眼光。まるで品定めするように自分を舐めまわして......
「.....どうかしてるわ」
這い上がる悪寒を押し殺し、シノンは苦笑する。冷静に考えれば、向こうからこちらが見えているはずがない。たまたま発射炎に気がついただけのことだろう。
怯えるな。そんなことでは弾も当たらないし、自分の欲している強さも手に入らない。
いつもの喝を入れてから、スコープの倍率を調節して戦場全体を視野に収める。《ミニミ》を始末すれば後は待機でいいと言われていた。あの《ピエロ》は健在だが、これ以上撃っても《予測線》が見える間は当たるまい。
お手並み拝見、ね。
彼方では、早くも光線と実弾が激しく飛び交っていた。
敵のパーティは意外にも素早く迎撃体制を整えている。前回の襲撃からある程度は対人戦闘のセオリーを学んだらしい。だが、スナイパーのシノンから見てもその動きはぎこちない。加えて光線銃のみで構成されたパーティでは、防護フィールドを持つギンロウ達の頭を抑えるのも難しいだろう。
案の定、早くも敵の1人がアサルトライフルの餌食になった。
さらに突出するアタッカー。このまま押し切れると踏んだのか、リーダーのダインを始めとする後衛まで前に出てきている。そして敵集団から最も近いコンクリート片に飛び込んでーー
「あっ」
カカシよろしく突っ立っていた《ピエロ》が、その時になってようやく動いた。ゆっくりと芝居がかった仕草でホルスターに手を伸ばす。仮面の隙間から流れるオレンジ色の髪が旗のように揺れた。
『なんだぁありゃ? さっきのマント野郎の中身か?』
『......なんにしても目障りだ。無駄口叩いてないでさっさとやれ』
『へいへい』
ギンロウの迂闊さに苛立ったのも一瞬、シノンは《ピエロ》が両手に握る2つのシルエットを見て凍りついた。
まさか、あの銃は.....
『じゃあな、せいぜい死んでから泣かないようにしろよ!』
下卑た笑い声を聞かないうちにシノンは無線に向かって叫んでいた。
「待って! あいつ
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