第六章
[8]前話
その彼にだ、僕はこう言ってきた。
「なあ、御前な」
「どうしたのかな」
「最近どうだよ」
こう僕に言って来たのだった。
「彼女出来たか?」
「出来たって言えばどうなんだよ」
先輩のことは直接言わずこう返した。
「その場合は」
「そうか、よかったな」
「よかったって」
「いや、俺も色々あったけれどな」
プールで小学生から人妻まで手当たり次第に声をかけたりしてだ、それだけでどんな無節操なんだと言いたくなるが。
「出来たよ、ここで羨ましいとか言うと思ったか」
「ああ、お約束の展開でな」
「お約束はお約束だよ」
それ以上の何でもないというのだ。
「いつもその通りにはならないんだよ」
「だからか」
「ああ、俺もだよ」
「彼女が出来たんだな」
「どうだ、いいだろ」
「何歳でどんな人だよ」
何しろ小学生から人妻まで声をかける様な奴だ、相手がどんな人か気になった。
「やばい人じゃないだろうか」
「聞いて驚け、中学三年生でな」
「年下か」
「従妹のな、近所に住んでいる」
何処のエロゲだと思った、流石に元首相かとは言わなかった。こいつもあの輩よりは遥かにましな人間だからだ。
「その従妹と付き合いだしたんだよ」
「そうなった成り行きが聞きたいな」
「聞いて驚け、この前な」
彼は僕達に付き合うことになったなりそめを延々と話しだした、自慢話そのものだった。
そしてその話が終わってからだ、僕達にこう言った。
「御前等も恋しろよ」
「ああ、御前にも相手が出来たからな」
「俺達にも夢があるな」
「そうだな」
「皆俺を目指せよ」
こうまで言ってきた。
「いいな」
「ああ、勇気が出て来たよ」
「本当にな」
皆彼が言うのとは違う意味で希望を見ていた、そうしてだった。
僕のことは何時の間にかどうでもよくなっていた、僕にとってはそれはどうでもよかったしそれでこっそりとだった。
先輩にだ、携帯でメールを送った。すると。
すぐに返事が返って来た、それはというと。
「いいわ、今度のデートは映画館ね」
快諾の返事だった。
「映画館も楽しみましょう」
こうメールで言ってきたのだった。
「プール以外の場所でもね」
「わかりました、ただ」
僕は先輩のメールを受け取ってから返信した、そこにはこう書いた。
「やっぱりプールで、先輩と一緒にいるのが一番です」
こう笑顔でメールを送った、先輩とはじめて出会ったあの場所が忘れられないから。冬のプールには夏があった、先輩と出会えた暑い夏が。
CーGIRL 完
2014・1・2
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