第一章
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第一章
LONG ROAD
「長かったね」
「ええ」
「遠回りしたね」
僕は笑顔で彼女に言った。
「随分とね」
「ええ。けれどそれもね」
「終わりだね」
「夢みたいだよ」
僕は笑顔のままだった。
「まさかこんなね」
「結婚できるなんて」
「覚えてるかな」
僕は昔のことを思い出しながら彼女に話した。
「最初のこと」
「勿論よ」
彼女も笑顔になって僕に言ってきてくれた。
「それはね」
「そうなんだ。覚えてくれていたんだ」
「忘れる筈ないじゃない」
これが彼女の言葉だった。
「あの時のことは」
「あの時。本当にね」
はじめて出会ったのはだ。昔のことだった。ほんの数年前の筈だけれど随分と、百年は昔のことにさえ思えることだった。
お祭りの時だった。その時にだった。
「暑かったね」
「ええ、とてもね」
「暑かったけれど楽しかったね」
あのお祭りは夏祭りだった。夏の中でふらふらと歩いてそうしてであった。高校生だけれどビールを飲んで焼きそばを食べて気楽に楽しんでいた。そしてばったりと。
同じ高校で同じ学年だった彼女に会ったのだ。
「隣同士のクラスだったなんてね」
「思わなかったわよね」
「思わなかったよ。けれどね」
「あの夏は二人になってからだったわね」
「うん、楽しくなったよ」
夏の出会い、それがはじまりだった。
それから付き合うことになったけれど僕は気楽なもので。彼女とは浅い付き合いのつもりで適当に遊んでいた。
丁度その頃バイクも覚えてだ。それを乗り回したりやっぱり酒を飲んでだ。女遊びとか煙草はしなかった。けれどであった。
「けれど僕はね」
「あの時バイク好きだったわよね」
「今でもね」
僕は今でもバイクに乗っている。それでもだ。
「けれどあの時はね」
「もっと好きだったのね」
「バイクさえ乗ってれば幸せだったよ」
そんな時だった。とにかくあの時の僕はバイクが好きだった。
しかしである。僕はその時。その一年の冬休みだった。
彼女との約束をすっぽかしてそれでバイクで街道レースを楽しんでいた。街道レーサーぶってそれで宜しくやっていた。けれどその時に。
バイクを思いきり転倒させた。それでガードレールに突っ込んで。アバラの骨を何本も折ってしまった。
それですぐに入院した。するとすぐにであった。
彼女が来てだ。そして涙を流してこう言ってくれた。
「無事でよかった・・・・・・」
こう言ってくれた。約束をすっぽかした僕にこう言ってくれた。その言葉は僕の心に、バイクでの怪我より突き刺さった。
その時のこともだ。僕は話すのだった。
「あの時だけれどね」
「入院したその時だね」
「よかっ
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