強く歩け
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火に彩られた夜空の下――――――
強く、歩き続ける為に。
「・・・という訳で」
一方、ここはアカネビーチとは別の場所。
とある家のとあるバスルームで、1人の女性が泡風呂に浸かっていた。
「評議院は責任問題が大きすぎて、しばらく正常に機能しないでしょうね。もしかしたら、組織解体もあり得るわね」
湯船の横に置かれた魔水晶に向かって声を掛ける女性。
『見事だウルティア。で・・・ジェラールはどうなった?』
「さあ・・・死んだんじゃないかしら」
女性の名はウルティア。
評議員の1人だった女であり、ジークレインの仲間であった人物だ。
まぁ、どちらも既に過去の話だが。
『利用していると思っていた女に逆に利用されていたとも知らずに・・・気の毒な男だ』
「うふふ・・・私は楽しかったわよ。彼、可愛いんだもん」
湯船から上がったウルティアは体にバスタオルを巻き、黒髪を綺麗に拭いていく。
その背中には、棘のあるハートのようなマークがあった。
「8年間・・・私が『ゼレフの亡霊』のフリをしていた事に、全く気付かないなんてね」
そう。
ゼレフの亡霊など、最初から存在しなかった。
全てはウルティア――――――。
『洗脳のかいあって、コトは完璧に進んだ。評議院全体を巻き込んだ騒動、エーテリオン投下、全ては計画通り』
「そう・・・ジェラールが暴走してるスキに、アナタは自由に動けるものね」
ウルティアは薄く笑みを浮かべる。
『おかげで封印を解く鍵が1つ我がものに・・・』
「おめでと♪」
そして、ウルティアは黒髪をポニーテールにし、微笑んだ。
「フフ・・・ごめんなさいね、ジェラール様」
その微笑みが、歪み始めた。
「あなたには初めからゼレフを生き返らす事なんて出来なかったの・・・いいえ。誰にもゼレフを生き返らす事なんて出来ないのよ」
「だってゼレフはずっと生きてるから・・・だろ」
「!」
自分の続けようとしていた言葉が別の人間に言われ、ウルティアが慌てて振り返る。
そこには、見慣れた群青色の髪と瞳の青年。
「・・・クロノヴァイス=T=カトレーン」
「クロノでいいぞ。裏切り者さんよォ」
青い目が細くなる。
睨んでいる訳じゃない。笑っているのだ。
「女のお風呂場に無断で入って来るなんて・・・あなたの事は前から変だとは思ってたけど、ここまでだとはね」
「いやー。褒めるな褒めるな」
「褒めてないけど・・・」
凄まじいプラス思考に呆れたように呟くウルティア。
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