強く歩け
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ようにショウが言い、小船を繋いでいたロープに手をかけた。
「行こう!姉さん達が俺達に気づく前に出発するんだ」
「だな!何とかなるゼ!」
「元気最強ー!」
そう言いながら小船を押し出し、出航しようとしたその時――――――
「お前達!」
3人にとって聞き覚えのある声が、ショウ達を呼び止める。
声のする方に目を向けると、緋色が揺れた。
「姉さん!」
「エルちゃん・・・」
「くうう・・・噂をすれば何とか、だゼ」
動揺する3人を、エルザはただ静かに見据える。
「と・・・止めるなら無駄だゼ。俺達は自分で決めたんだ・・・」
ウォーリーがそう言うが、エルザは何も言わない。
黙って3人を見据えるだけだ。
すると、ショウがゆっくりと口を開く。
「俺達はずっと塔の中で育ってきた。これから始めて『外』の世界に出ようとしてる。解らない事や不安な事がいっぱいだけど、自分達の目でこの世界を見てみたい」
ショウの言葉を、エルザは静かに聞いている。
「もう誰かに頼って生きていくのはイヤだし、誰かの為に生きてくのもごめんだ」
握りしめたショウの拳が、小さく震える。
「これからは自分自身の為に生きて、やりたい事は自分の手で見つけたい」
そこまで言うと、ショウは一旦言葉を区切る。
そしてエルザを真っ直ぐな眼で見つめ、ハッキリとした口調で言い放った。
「それが俺達の自由なんだ」
ショウ達の決心を聞いたエルザは、ゆっくりと目を閉じる。
「その強い意志があれば、お前達は何でもできる。安心したよ」
そう言って微笑を浮かべ――――――
「だが妖精の尻尾を抜ける者には3つの掟を伝えねばならない。心して聞け」
換装した。
「ちょ・・・!抜けるって、入ってもねェのに」
「・・・」
エルザの言葉に困惑を隠せない3人。
白シャツにタイトスカート、という服装から、ギルドの紋章が描かれた旗を持ち、豪勢な鎧へと換装した。
「1つ!妖精の尻尾の不利益になる情報は生涯他言してはならない!」
感想を終えたと同時に、叫ぶ。
「2つ!過去の依頼者に濫りに接触し、個人的な利益を生んではならない!」
ギルドの紋章が描かれた旗が揺れる。
「ギルドの不利益になる情報なんて持ってねぇゼ」
「依頼者って何?」
「姉さん・・・」
エルザの言う『掟』の意味が解らず、首を傾げる3人。
「3つ!」
そしてエルザはその両目から涙を流し、最後の掟を口にする。
前の2つの掟よりも大切で、伝えたい言葉を。
「たとえ道は違えど、強く・・・力の限り生きなければならない!決して自らの命を小さなものとして見て
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