第二章
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第二章
「本当にね」
「わかったよ」
男はその席に座ったままでいた。女だけが立ち上がって去る。後に残ったのは二つのコーヒーカップだけだ。だがどちらも全く手がつけられていない。
それを放ったままにしてだ。男はあるものを見詰めていた。
涙を。女が落としたその涙をだ。ずっと見詰めていた。
そしてだ。そのまま時が流れるのも気付かずだ。彼はそのテーブルの上の涙を見詰めていた。
見詰めながら。これまでのことを思い出す。しかしそれは。
もう過ぎ去ったことだ。それがわかってだ。
男はその場所に項垂れた。それから長い間眠れなかった。22
そしてぼろぼろになりだ。仕事も手につかなくなった。そこでだった。
「おい」
同僚の一人が彼に声をかけてきた。丁度仕事が終わった帰りだ。
「最近どうしたんだ?」
「最近?」
「そう、最近な。随分疲れてるな」
「何でもないさ」
口ではこう言うのだった。
「別にな」
「だったらいいんだけれどな」
同僚は彼の言葉を受けはした。そしてだ。
そのうえでだ。こう彼に言ってきたのだ。
「今夜だけれどな」
「今夜か」
「コンパ行かないか?」
それに誘ってきたのである。
「よかったらな。どうだ?」
「コンパか」
「御前彼女いるよな」
同僚は彼が別れたことは知らない。だがそれでもなのだった。
「だからまあ。数合わせでもな」
「来て欲しいのか」
「面子が揃わないんだよ」
同僚は困った顔で話す。
「それでだよ。数合わせでも来てくれないか」
「酒か」
「それに食い物な」
この二つがあるというのだ。
「そっちを楽しんでくれよ」
「わかったよ」
男はその誘いに乗った。そうしてだ。
そのコンパに参加することにした。場所はカラオケ屋であった。そこの広い部屋に入るとだ。そこには。
「おっ、そっちもいるのか」
「ええ、集めたわ」
同僚と向こう側のリーダーと思われる赤い服の女が話をはじめた。向こうにも女の子が何人もいる。数はこちら側と同じ位だった。
そしてその中にだ。彼女もいた。
男はそれを見てだ。ついつい顔を顰めさせて呟いた。
「何でなんだよ」
「どうしてなのよ」
向こうも呟いた。しかしだ。
周りはそれに気付かずだ。コンパの話を進めるのだった。
「お酒飲み放題だよな」
「ええ、食べ放題にもしれるわ」
同僚と赤い服の女が話す。もうお互いにソファーに座って向かい合ってだ。カラオケのスイッチも入れてパーティーの用意に入っていた。そしてだ。
賑やかに飲み食いをはじめた。暗いカラオケの部屋の中に薄暗いがそれでも赤や青の光が入ってだ。その中で騒ぎはじめた。
そしてだ。男は女にだ。こう言うのだった。
「何でここにいるんだ」
「
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