GGO編ーファントム・バレット編ー
63.温かな雫
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人、少しだけ不機嫌そうな顔をする少し長めの黒髪に、シュウと同じ制服を着ている少年の姿もあった。
右手で椅子を示す男の仕草に向かいの窓際に腰を下ろすと即座に湯気を立てるお絞りと革張りのメニューが出現した。
「さ、何でも頼んでください」
とメニューを開き、視線を落とすとし、唖然とした。その並んでいる全ての横に四桁の数字が並べられている。
凍りついていると、シュウが立ち上がって告げる。
「それじゃあ、俺はこれで」
「もう行くのか、シュウ?」
隣のキリトがシュウの方に視線をあげて言う。
「ああ、待たせるわけにはいかねぇからな」
制服のポケットからバイクの鍵を取り出しながら、じゃ、また後で、と言い残し、シュウは店を後にした。
「......ここか」
誰に言うでもなくボソッと呟いた。
ヘルメットを外し、今一度スマホの地図アプリにポケットに入っている小さな紙に書かれた住所を検索する。
地図が示したのは、間違いなく俺がいる現在地と一致している。
キリトとシノンと別れて俺が向かったのは、東京都のとある民家。
バイクを停め、エンジンをかけたまま俺のその家への【大澤】と彫られた石の表札を確認し、玄関の前に設けられたインターフォンを押す。
家の中で聞き覚えのあるようなの音が遠くに聞こえる。そこから数秒後、ガチャ、という音とともに玄関の扉が開く。
扉が開くとそこから、女性が現れる。三十歳くらい。髪はセミロング、化粧は薄めで、落ち着いた服装の主婦のイメージの女性。
「はじめまして、如月集也というものです。大澤祥恵さんですか?」
返事の代わりに女性は、こちらに一礼する。
するとその後ろから、小さな足音が響いた。女性の後ろから、まだ小学生前だと思われる女の子が走り出てきた。
しゃがみこんでその少女と身長を合わせる。
「瑞恵ちゃんだね?」
女の子が少し恥ずかしそうにこくりと頷く。
立ち上がって女性の方を今一度見る。
「大澤祥恵さん、瑞恵ちゃん、本日はありがとうございます」
深く一礼する。
「それでは、行きましょうか」
「会うべき......ひと.....?聞くべきことば.......?」
菊岡の話を終えキリトに連れられてこられた御徒町の小さな喫茶店。そこにキリトと同じ学校の二人の少女、明日奈と里香、それにマスターのエギル。
彼らは、私の過去を探った。
そして私の昔の向き合うべき事件のことを知った。
なぜそんなことを彼らがしたのか自分には理解できない。
呆然とする私の斜め前で、キリトが眼で合図しあった里香が立ち上がり、店の奥のドアへと歩いていった。そのドアが開けられると、その奥から、女性が現れた。
三十歳くらい。
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