暁 〜小説投稿サイト〜
誰が為に球は飛ぶ
青い春
拾四 縁の下の
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ら取り出したハンカチで濡れた手を拭った。

「お前、本当に選手としての野球を諦められているのか?他の選手の練習量が減るとか、そんな事考えなくてもいい。あいつらにはそれくらい言って聞かせてやる。…俺は入学した当初から、お前の手にマメがあったのを知ってたぞ。ずっとバットを振り続けてなきゃ、あんなのすぐに元に戻るのに」

真理は何も答えない。

「…まぁ、お前が決める事だから俺はこれ以上は何も言えんが……周りから与えられる役割と、自分のしたい事。お前はまだ、後者を優先しても許される年齢だと俺は思ってる」

加持は踵を返して、グランドへと戻っていく。流し場には、真理だけが残された。
真理はその背中を見ながら、自嘲気味な笑いを漏らす。

「お見通しかァ…案外大人って侮れないなァ…」

グランドからは、フリーバッティングの打球音が響いてきていた。西の空に太陽が傾き、グランドの照明に灯りが灯り始める。


「……戻ろっと」


真理は蛇口を閉めて、鼻歌を歌いながらグランドへと戻っていく。
カーーーン!
また高い、金属音が校内に響いた。










[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ