青い春
拾四 縁の下の
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ら取り出したハンカチで濡れた手を拭った。
「お前、本当に選手としての野球を諦められているのか?他の選手の練習量が減るとか、そんな事考えなくてもいい。あいつらにはそれくらい言って聞かせてやる。…俺は入学した当初から、お前の手にマメがあったのを知ってたぞ。ずっとバットを振り続けてなきゃ、あんなのすぐに元に戻るのに」
真理は何も答えない。
「…まぁ、お前が決める事だから俺はこれ以上は何も言えんが……周りから与えられる役割と、自分のしたい事。お前はまだ、後者を優先しても許される年齢だと俺は思ってる」
加持は踵を返して、グランドへと戻っていく。流し場には、真理だけが残された。
真理はその背中を見ながら、自嘲気味な笑いを漏らす。
「お見通しかァ…案外大人って侮れないなァ…」
グランドからは、フリーバッティングの打球音が響いてきていた。西の空に太陽が傾き、グランドの照明に灯りが灯り始める。
「……戻ろっと」
真理は蛇口を閉めて、鼻歌を歌いながらグランドへと戻っていく。
カーーーン!
また高い、金属音が校内に響いた。
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