[:退治する“大樹”と『暴帝』
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気付く。
(……何ダ? 微妙ニ倦怠感ガ……)
実は、先程大樹が巻いた煙幕は“毒煙”であり、本来ならばバッドステータスとして徐々にHPバーが減って行く“毒”状態となるモノなのだが、幸いと言うべきか騎士には倦怠感を味合わせるにとどまったようだ。
大樹は次いで触手を次々と伸ばし、鞭のように撓らせてあたりを叩くが、ソレは騎士に全て回避され、何時の間にか接近されてお返しの斬撃を幾度も喰らう。
以降それがずっと続く。時に毒煙幕を吐くものの、騎士はゲームに参加してはいない……異世界からの来訪者“異邦人”なので、バッドステータスどころか体力を削る事すら儘ならない。
「ギィ……ジュガアアァァアアア!!」
苛立ったように声を上げ、攻撃の速度、破壊力ともにました攻撃を仕掛けるも、尽くかわされ斬撃と打撃を叩き込まれる。
(クダラン……コレナラアノ牛ノ方ガマダ“マシ”ダナ……)
止めに『機能』を作動させた“カッシウス”の斬撃で大樹を真っ二つにし、二つに割られた大樹はこれまでの化け物よろしく、四散して消え去った。
(肩慣ラシニハナッタガ……)
やはり時間の無駄だったと後悔し、剣を地面に刺して手を柄に置き、再三吐いてきた溜息をもう一度はく。
少し休憩したらこの建造物を抜けようと、そのまま少し力を抜いた矢先――――扉の向こうから、微かに人の声がした。それも一人二人では無く大勢のもので、鬨にも似たような響きを持っていた。
その声が聞こえた直後に扉が重たい音を立てて開かれる。
「は?」
「あれ?」
「なに?」
「あ、ありゃ? 何で?」
彼等は入ってくると同時に素っ頓狂な声を上げ、立ち止まっているようだ。こんな大自然に自分の様な者がいるなら、それも無理からぬことだと彼は思い、別に危害さえ加えなければ大丈夫だろうと、そしてこんな所に何をしに来たのだろうと考えていた。
(宝探シノ類ニシテハ随分ト大袈裟ダガ)
静観を決め込んでいや彼は、次に発せられた言葉で僅かに顔を上げる。
「……とにかく油断はするな、何時襲ってきてもいい様に構えておくんだ」
(何故俺ガ、オ前ラヲ襲ワネバナラン……?)
特に理由もないし、そもそも依頼でも無いのに殺しをする理由は無い。それに、目の前の者達はかなりの武勇を持っているとは言い難い者ばかりで、一番マシな人物は黒いコートを着た線の細い少年ぐらいだろう、と彼は見たてで思う。
こんな者達を相手にする気はないと殺気により威圧するが、彼らもまた武器を構える手に力を込めたり、少し視線を外すことで耐えている。
そのにらみ合いによる硬直状態が……ついに破られる。
「うわあ
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