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錆びた蒼い機械甲冑
[:退治する“大樹”と『暴帝』
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 これと行った当てもなくさまよいあるく騎士は、とにかく何でもいいから人工的な建造物を見つけようと、物の形しか分からなくなっているレーダーを、それでも無いよりはましだと作動させてあたりを見渡す。……レーダー越しであれば後ろも見えているので、見渡す必要などないのだが。


 すると、レーダーが何かの動きを探知し、次いでその何かが此方に武器を持ち、向かってきている事が分かる。


(マタ人間カ? ダガ人間ニシテハ……少々機械的ダナ)


 騎士は“プラエトリアニ”を構えると、茂みからその何かが飛び出して来た。それは、シミターを持った数人の盗賊の様な恰好をした者たちだった。しかし騎士はその人間達が、何処かおかしい事に気付く。


(本当ニ人間カ? 敵意ト思ワシキモノハ雑……動キモ少々変ダ……)


 その奇妙な人間達は、騎士を何やら罵倒した後、徐に剣を構えて此方を見据えた。途端剣が光り出し、此方に向かって突っ込んでくる。他の盗賊達は、同じく突っ込む者もいれば静観している者もいて、どうやら連携を取ろうとしているようだ。

 しかし、それが通じるのは“このゲームに本当に参加している者”のみ。

 騎士は跳びあがって最初に突っ込んできた盗賊を足蹴にすると、周りに向けて投げナイフを投擲し、着地の瞬間に足もとに居た盗賊を、ブースターを利用したクレータを残すかの如き威力で踏み付ける。


「ぐああっ!!」


 断末魔の悲鳴と共に一瞬止まった盗賊は、ポリゴン片となって四散した。ナイフに塗った毒の所為で動きを鈍らされている他の盗賊達を見渡して、騎士はある一つの確信を得る。


(コイツ等ハ、今マデアッタ人間トハ違ウ……彼等ノ様ナ意識ガ無イウエ……何ヨリ身体カラ放ッテイル波長ガ違ウ)


 騎士のレーダー越しに人間を見た場合、今までの者達はポリゴンの体から人間の波長を放っているというおかしな調子で見えていたが、今戦っている盗賊達は見た目と波長共にポリゴンであり、彼等が現実には存在しないと教えている。


(ナラバ……加減無シダ)


 そんな騎士の思考など知らず、盗賊達は連携を取りながら迫ってくる。しかし、撹乱の動きから騎士へと踏み込もうとしたその瞬間――――爆速で近づいた騎士が、何時の間にか右手に持っていた“カッシウス”の一撃で一人屠られ、次いで近い位置の盗賊を“プラエトリアニ”の盾打撃で吹っ飛ばし、その直線状の位置に居たもう一人に当てた。

 間髪いれずに背後から迫ってきた盗賊をソバットで蹴っ飛ばすと、ブースター無しの筋力のみで跳び、追いつくと同時に“プラエトリアニ”で斬り裂く。


 一気に三人も葬られた盗賊達はなおも騎士へと向かってくるが、騎士は興味を無くしたかのように武器を消し、まず左右に
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