最後の日
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……。
「これだけ……これだけの話よ……ってなんでまた泣いてるのよ?」
そうあきれ顔で見られる……俺はまた泣いていた。正直期待してたのかもしれない……彼女と生きたかったのかもしれなかった。
「男は弱いって、本当ね。」
彼女はそうため息をつく……。もうあきらめているのだろう……。
「なんで、死ぬのか……教えてくれない?ほっといても……死ぬんでしょう?」
そう訪ねると彼女はこちらをまっすぐ見つめた。
「病院って退屈でね……いつも本ばっかり読んでた。……本って起承転結なのよね。終わりが大事で終わりをどう結ぶかがもっとも重要なのよ。」
そう話し出す。
「私の人生は正直真っ白。起も……承も。転なんてなくてさ。だから最後だけは、結だけはきっちりと決めたいのよ。真っ白な病院で終わらせたくない、最後の我が儘よ。」
そう話した彼女は涙を流しながら笑った……「女も弱いじゃん。」と言うと「女は良いのよ。」と言われてしまった……。
真っ暗な空。海の音をBGMに星空を二人で眺めながら、残り少ない酒を煽る。正直フラフラだが、最後だと思うと自制は利かない。
最後の二本になり、食べ物は無くなった。
チェリーサワー……話の後だからか、お互い飲みづらくなって残ったもの。そして偶然にもカルピスサワー。
彼女がどっちが良いかと聞いてきた……。
僕の望みは……混ざり合った汚い世界からの解放だ。そんな大層な事を思いながらカルピスサワーを手に取った……奇しくもくる途中に飲んだジュースはカルピス、不思議な縁だとも思う。
彼女はチェリーサワーを手に取る。
「さっき言った桜ってね……病気なのよ。気の幹の一部が白く変色してるの……」
いきなり話し始める彼女……だが僕は黙って聞いていた。
「でも毎年咲く花は、そんなことを感じさせないくらい綺麗で……それを見るたびに生きてるって感じられた。」
そう言いながらケースを取り出す……そして僕に3錠を渡し、彼女も3錠を持つ。
「別に良いのよ、生きたければ今からでも遅くはないよ。」
「……僕の人生は何の価値も無かった。失敗ってやつだよ。ゲームならすぐにでも消して、やり直すところさ。さっきの話じゃないけれど……最後くらい綺麗に結びたい。」
迷いは無い。後悔も無い。……彼女のお陰で心も軽い。
期待と不安の混じる、入学式の心。それは次への期待だけしかない、卒業式の心に変わった。
「分かった。……せーのっ」
その合図でお互い薬を飲み込む……そして二人で飲むそれぞれの缶チューハイ。
すぐには利かないようで、ゆ
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