最後の日
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真面目な顔になった。
「今度は私が話すよ……。おもしろい話じゃないけど、最後に聞いてね。」
小学校4年生の時、初めて入院というのを経験した。
学校での吐き気……そのままおう吐。すぐ病院へ行った。
なんの病気か、当時は分からなかったけど入院することになった。最初の3日で体調はある程度回復したが、点滴のチューブははずれなかった。
それから入院は長く続いたが、毎日のように友達がお見舞いに来てくれた。
「ねえ、大丈夫なの??」
友達が話しかけてくる。それに大丈夫と答えると嬉しそうに早く元気になってと言ってくれる。
とても嬉しかったのは今でも覚えている。
それから数ヶ月、友達もお見舞いという一大イベントに飽きて来なくなる……寂しいと感じても友達の事を思い出し、治療に専念した。
いつかあえる友達を思って。
小学校6年生の途中頃、とりあえずではあるが退院が決まった。それを聞いて嬉しく、登校日にはとても早く起きた。
そしてウキウキと学校に行った……体調の問題もあり、車で向かった。
教室を先生に聞き、入った……そのとき、話し声がピタリと止んだ。
無音の空間で、こちらを見る友達達……いや、こちらを見る人たち。
そしてこちらを見てから周りと目を合わせてから、口々に「おめでとう!待ってたよ。」と声を掛けてきた。
愕然とした……彼らは私を忘れていたことに気づいた。
おそらくは担任から事前に話があったのだろう。言う言葉も皆同じ、掛けられる目線は物珍しさへの好奇心。
その瞬間涙が溢れた……その日私は走って家に帰った。
その後小学校はいっさい登校せず、中学に入り、保健室登校を繰り返す日々が続いた。保健室の先生の義務づけられたかのような笑顔は今でも鮮明に思い出せる。
そして中学校二年の時……また体調が一気に悪化し、真っ白な病院へと向かう。
そこで両親と共に聞かされた話……
「大変、申し上げにくいですが……おそらく高校は卒業できないでしょう。」
母は泣く……みっともない。父は喚いた……うるさい。
私は……「そうですか。」とだけ言った。
正直言えば分かっていた。予感していたのだ。いや、両親も分かってただろう。
分かってたことを聞いて、私へのアピールみたいに喚く……馬鹿みたいだ。
その後は一応進学した高校にも通えなくなり、病院の個室に移された。
何年も居たおかげで病院の構造は把握していた。シフトなんかも把握していた。
そこで薬がある場所に忍び込み、10錠ほどの薬をくすねた……。その数日後に仮退院が決まった。次に入院するのが、おそらくは最後だろう
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