最後の日
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りながらパソコンを開き、する気も無かったのにブックマークしていた自殺掲示板を見る。
ある人……年齢も性別も、名前もわからないが……の書き込みで、1週間後にここの近所の海辺ですると書いてあり、フリーのアドレスも添えられていた。
その人にメールを送ると、詳しい場所と時間を送ってきた。そして方法は自由で、こだわりたいのなら何でも良いとも書かれていた。こだわりが無ければこちらで用意はするとも。
それを見て……普段なら恐怖しか抱かないだろうが、さっき以上の高揚感を感じた。何かの入学式に一番近いだろう。
期待と不安、絶妙なバランスで混ぜられたそれに軽く……震えた。
海岸は、砂浜で無く崖のようになっていた。そこの崖に腰掛ける一人の少女。長い髪は海風に揺れていた。
「ねえ……。」
「……あなたなの?」
短い会話。それに肯定すると、彼女はこちらを向き直った。
白い肌、整った顔立ち。
髪はきれいな黒で、背中の半ば程の長さだ。
やる気の感じられない微笑でこちらを見て……「最後に話しましょう?」と声を掛けてくる。声は高めのきれいな声。それに答えて、隣に座った。
僕のコンビニ袋を見ると
「もらって良い?」
と聞いてくる。断る理由も無い。1万円を超えるほどの量の酒と食べ物、コンビニで使えば数人分が足りるほどだ。
袋を彼女と僕の間に置くと、缶チューハイ一本目をのプルタブを空けて……僕を見た。
僕も適当な物をとり、あげる……ビールのようだ。
「「……乾杯!」」
二人の声が重なり、一本目を飲み干す。
缶を海に投げ捨て、彼女が自分のバックから一つのケースを取り出した。
「この薬を飲めば眠るように……死ぬ。必要な致死量は錠剤3つ分。一応10錠は用意したけど、飲み過ぎると吐いちゃうからとりあえず最後には3錠だけ飲んでね。」
そう言葉を続ける……その顔は清々しいようでいて、陰りも見える。
「何故死のうと思ったの?」
僕は聞いた。気になったのだ。彼女ほどの美人なら人生が嫌になることも無いと思ったから。
「まあ、最後に話すから……今は飲みましょ。」
そう笑う彼女を見て……涙がこぼれた。きれいな笑顔をみて……
「子供の頃は色々やったよ。サッカーもバスケットも……ピアノもやった。何も続かなかったけどね。」
「良いなあ、私は子供時代の思い出はあんまり無いよ。」
話し始めて30分ほどで彼女とは随分と打ち解けた。
彼女も酒が入った後は饒舌で、お互い思い出話をし合う。僕は過去の恋愛体験を深く聞かれてしまい、恥ずかしい思いをした。
聞けば彼女は小学校も中学校もあまり通わなかったらしい。一応高校
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