第百四十七話 死闘のはじまりその十二
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「御主達はどう思うか」
「いえ、まさか」
「門徒達ならともかくとしまして」
一向宗の門徒であり念仏を唱えれば極楽に行けると信じている彼等なら、というのだ。それは僧侶達も同じである。
しかしだ、彼等はというと。
「顕如様に命を粗末にするなと言われています」
「それは絶対にです」
「だからこそこの度も降りました」
「門徒達の命はどうか」
「わかっておる、御主達は降ってもな」
それでもだとだ、また話す信長だった。
「命は取らぬ、わしが約束する」
「はい、わかりました」
「それでは」
「そのことは誓う」
絶対にだ、降った門徒達には手を出さないというのだ。
「だから大人しく武器を捨ててな」
「村に戻れと」
「そう仰いますか」
「一向宗だからといっても一揆を起こさねば何もせぬ」
信長はこのことも約束した。
「村で田畑を耕し幸せに暮らせ」
「では民達に伝えておきます」
「そのことも」
「うむ、民達はそれぞれの村に帰れ」
信長は穏やかな声でこうも告げた。
「御主達もな」
「わかりました、それでは」
「このことは長島に戻って伝えます」
「残っている門徒達にも」
「そうしますので」
「何度も言うが御主達の命を取るつもりはない」
彼等が織田家に歯向かわなければというのだ。
「別にな」
「ではその様に」
「そうさせてもらいますので」
「うむ、それで長島じゃが」
信長は僧侶達の言葉を受けてそのうえでだった、次に長島のことを問うた。彼がこれから攻めるその場をである。
「あの寺のことじゃがな」
「このことは寺の者達にも伝えますので」
「寺を開けさせます」
「そして門徒達もそれぞれの村に帰らせます」
「そうします」
「頼むぞ、しかし歯向かう者がいるなら」
それならばだというのだ。
「容赦はせぬぞ」
「はい、それでは」
「そのことも伝えます」
こう話す、そしてでだった。
僧侶達は信長の言葉をそのまま降った門徒達に伝えた、そうして彼等をそれぞれの村に帰らせてそのうえで長島に向かった、それを見届けてだった。
信長は落ち着いた声でだ、こう家臣達に言った。
「あの者達は邪ではない」
「ですな、門徒達を大事に思っております」
「そのことは間違いありませぬ」
すぐに村井と武井が応えてきた。
「そして嘘を言う者達でもありませぬ」
「殿のお言葉もわかっているかと」
「そうじゃな、よい者達じゃ」
これは信長もわかるのだった、そrで言ったのである。
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