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ヘタリア大帝国
TURN113 ソビエト占領その六

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 クローンの増殖をとにかく急がせた、そうして。
 反撃の機会を待っていた、彼女はまだ諦めていなかった。
 一方国外追放となったゲーペはロシア兄妹の見送りを受けて港にいた、今から一人乗り用の小型艇に乗り込むところだ。
 その彼女にだ、ロシアが問うた。
「これからどうするの?」
「これからですか」
「うん、どうするのかな」
「考えていません」
 ゲーペは普段とは違い穏やかな声でロシアに答えた。
「これといって」
「そうなんだ」
「故郷に帰ろうとは考えていますが」
 こう考えてはた。
「カフカス星域に」
「グルジアになんだ」
 カフカスにある惑星の一つだ、ゲーペだけでなくカテーリンやミーリャもその星の出身だ。
「そこに帰るんだね」
「とはいっても国外追放でしたね」
 言った後で気付いてだ、ゲーペは寂しい笑顔で言った。
「では故郷に戻ることも」
「それではです」 
 今度はロシア妹が言って来た。
「ほかの国に亡命されてはどうでしょうか」
「亡命ですか」
「長官が望まれる国に」
「しかしそれは」
 どうかとだ、ゲーペはロシア妹に曇った顔で返した。
「裏切りでは」
「気にしなくていいよ」
 ロシアはそのゲーペに微笑んで述べた。
「そうしたことはね」
「そうなのですか」
「僕達は長官に幸せに過ごして欲しいから」
「そう思っているだけなので」
「他の国で何かをして生きていてくれたら」
「それでいいです」
「では」
 二人の言葉を受けてだ、また応えたゲーペだった。
「気の向くままに」
「うん、じゃあね」
「また会いましょう」
 彼等は笑顔で分かれた、ゲーペは小型艇に乗り込み。
 そのうえで何処に行くかを考えた、しかし。
 エンジンの調子が急に悪くなった、それでだった。
「これでは。遠くに行くことはとても」
 無理だった、それである場所に向かうのだった。
 スカーレットは今モスクワのパトロールにあたっていた、そうしてモスクワの治安を改善させていたのだ。
 その彼女にだ、共にパトロールにあたっているアメリカ妹が言って来た。
「小型艇が一隻来てるよ」
「小型艇が?」
「ああ、何か南から来たんだよ」
「南、なのね」
 その話を聞いてだ、スカーレットはいぶかしんで言った。
「東か西ではなく」
「ああ、南だよ」
「おかしいわね、モスクワの南から来るなんて」
 それはだとだ、スカーレットは考える顔で述べた。
「ワープ航路がないのに」
「そうだね、あたしもそう思うけれどね」
「その小型艇が来てるのね」
「エンジン不良になってね」
 それでだというのだ。
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