第44話 「青天の霹靂」
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屋に忍び込み、盗聴。
聞き耳を行いました。
ふむふむ。
■宰相府 ジークフリード・キルヒアイス■
「ラインハルト君にジークフリード君。二人に相談があるのだ」
「うむ」
「相談とは?」
ブラウンシュヴァイク公爵様とリッテンハイム候爵様が、真剣な口調でわたし達に話しかけられます。いったい何事でしょうか?
「実は……卿ら、養子にならんか?」
「は?」
はぁ〜?
今なんと?
ラインハルト様も驚いたのか、目を見開かれています。
「帝国はこれからバカな門閥貴族の淘汰が行われる。その時、必要とされるのは家柄ではなく、才覚だ。そうなれば貴族同士の婚姻など、難しくなる一方。ならばいっそ、才覚があり将来有望な者と一緒にさせた方が、娘にとっても良いと思うのだ。馬鹿な親心と思うが」
「ブラウンシュヴァイク公の言うとおりだ。幸いな事に娘達はまだ幼い。門閥貴族の悪弊に染まっておらぬ。普通の娘と思い、接してくれれば良い。それに卿らと婚約しておれば、身分など気にもしなくなる」
婚約ですか?
わたし達が門閥貴族の代表とでも言うべき、両家の令嬢と?
「卿らはその年で、宰相府に出入りが許されておるほど、宰相閣下に目を掛けられている。我らとしても異存はないのだ」
「年もそう離れておらぬし。卿らを見ていて、将来有望なのは分かっている」
「どうだ。まず婚約という事で」
いきなりの事で、呆然としてしまいます。
何と申せば良いのでしょうか?
分かりません。どうしたものでしょうか?
「陛下のお許しはすでに得ておる」
な、なんだってー!!
すでに内諾を得ていると?
「……いきなりの事で、何と言って良いのかわかりかねますが、考えさせていただきたい」
ラインハルト様が動揺しながらも、そう申されました。
その隣で私もこくこく頷くのみ。
「ま、確かにいきなりであったな。まだ時間はあろう。だが、この事だけは頭の隅に入れておいてくれ」
私達はこれで解放されましたが、部屋を出た途端、その場にへたり込みそうです。
ラインハルト様も同様のようでした。
それにしてもわたし達が、ブラウンシュヴァイク公爵家とリッテンハイム候爵家の跡継ぎ?
冗談でしょう……。
どうするべきでしょうか?
■宰相府 マルガレータ・フォン・ヴァルテンブルグ■
うぬぬ、さすがは門閥貴族の雄。
将来を見据えて、手を打ってきましたね。
それにしてもあの二人を家に取り込もうとするなど、見る目はある。
それにしても……。
ちっ、これだから身分の高いお方はっ!!
身分を笠に良い男を持っていこうとする。売れ残った女はどうしろというのかっ!!
ちょーむかつくー。
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