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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第44話 「青天の霹靂」
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のではありませんよ」

 蛇に睨まれたかえるとはこの事かっ。
 あのラインハルトが押されている。ベーネミュンデ侯爵夫人の目が妖しく光ったー。

「おお、マクシミリアン殿下もおられましたか」

 そう言いながら、ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム候が、子どもの手を引きつつやってきた。その後ろではなにやら疲れた表情のジークもいる。

「エリザベート。ルードヴィヒ皇太子殿下にご挨拶しなさい」
「ザビーネも、しなさい」
「はい」
「はい、わかりました」

 かわいらしい幼女たちが、満面の笑みを浮かべ近づいてくる。
 俺が立ち上がると見上げるように、顔を上げ、スカートをちょこんと摘み、少し舌足らずな口調で挨拶してきた。

「ルードヴィヒ皇太子殿下。エリザベート・ふぉん・ブラウンシュヴァイクです。お会いできて……光栄です」
「ザビーネ・ふぉん・リッテンハイムです。お会いできて? 光栄です」
「ああ、会えて嬉しいよ。二人とも、前に会った時よりも大きくなったな。それにかわいくなった」

 エリザベートにザビーネ、なぜに途中で疑問形になるんだ?
 それにフォンって言いにくいか?
 それにしてもこれぐらいで、照れて赤くなるなんて初々しいねー。
 どこぞの寵姫たちとは大違いだ……けっ。

「ルードヴィヒおじさま? どうされました?」

 おじさま?
 おいおいおい。俺はまだ若いぞ。まだ二十代だ。
 ナウなヤングを捕まえて、おじさまとは如何なものか?

「もうすぐ父親になろうとしておられるのに、なにを仰っておられるのか?」
「まあそう言うな、ブラウンシュヴァイク公。我々も通ってきた道だ」
「そうそう。マクシミリアンなんか、この年でおじさんなんだぞ」
「ああ〜そうだったぁー」

 ショックを受けていると、ブラウンシュヴァイクとリッテンハイムの両名が、ラインハルトとジークの肩をがしっと掴んだ。

「えっ?」
「えっ?」

 二人とも目を丸くしている。
 いったい何事だ?
 そして強引に二人を部屋から連れ出していった。

「マルガレータ」
「はっ!!」
「はい?」
「いや、君の方じゃない」

 小首を傾げて問うて来るマルガレータの頭を撫でつつ、我が寵姫マルガレータとアイコンタクト。
 ゆくのだ。デバガメして来いっ!!
 さすがだ。
 さすが、我が寵姫。
 見事な隠行だ。
 あいつ絶対、ストーカーの才能があるよな……。

 ■宰相府 マルガレータ・フォン・ヴァルテンブルグ■

 ふっふっふ。皇太子殿下の意を汲んで、わたしは彼らの後をつけます。
 あの組み合わせなど、珍しいなんてもんじゃありません。
 使われていないはずの部屋に入っていったのを確認すると、その隣の部
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