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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第45話 「権威と権力」
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うした?」

 やってきたリヒテンラーデ候にむかい声を掛ける。
 強気な態度も鋭い目もいつもと同じ。
 そうして歩き出す。傲然とふてぶてしさすら感じさせる気配を漂わせて。
 さてっと、私も立ち上がって歩き出しましょう。そうでないとあの方を見失ってしまいます。ずっと傍にいると決めたのですからね。

 ■軍務省 帝国軍統帥本部長シュタインホフ元帥■

 軍務尚書エーレンベルク元帥と私そして、宇宙艦隊総司令長官ミュッケンベルガー元帥の三名は、顔を付き合わせていた。

「宰相閣下から、増援艦隊は八個艦隊との命が下った」

 私がそう切り出すと、他の二人が渋い表情になった。

「八個か、多いな」
「よほど警戒なされているのだろう」

 ミュッケンベルガーが渋い表情のまま呟き、エーレンベルクが取り成すように話した。
 うむ。ミュッケンベルガーの懸念も分からなくない。数が多ければ良いというものではないのだ。多ければ多いほど、統制が難しくなるし、指揮官の質、というか人となりが問われてくる。

「だが叛徒どもは六個艦隊らしい」

 それを上回るだけの戦力をご用意していただいた。
 本気でやるなら、質、量とも圧倒せよ、か……。
 宰相閣下のご英断だ。

「うむ。こちらとしては例の者達が中将に昇進しているからな。連中に一個艦隊を指揮させるつもりだ」
「やれるのか?」

 エーレンベルクはどことなく不安そうだな。

「大丈夫だ。有能だよ、連中は。一個艦隊どころかもっと多くても指揮できるだろう」

 ミュッケンベルガーが自信を持って言い切った。
 こちらは不安などないといった表情だ。

「そうかでは、
 ウォルフガング・ミッターマイヤー。
 オスカー・フォン・ロイエンタール。
 アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト。
 エルネスト・メックリンガー。
 アウグスト・ザムエル・ワーレン。
 フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト。
 ヘルムート・レンネンカンプの7名に、ミュッケンベルガー元帥の直属艦隊を含めた、計八個艦隊ということだな」
「うむ。そうなるな」

 私が確認するように問うと、ミュッケンベルガーは頷いた。
 指揮官は揃った。
 後はどのような作戦を採るかだな。

 ■宰相府 ウルリッヒ・ケスラー■

 いつも不思議に思うのだが、宰相閣下というお方は、軍に対してあまり横槍を入れないといおうか、援軍の規模、時期は指定するが、作戦内容までは一々口出しをされない。
 ただ口を出されるときは、軍の様相を一変されてしまう。
 今回の指揮官達もそうだ。強権を振るわれた。だがそれ以後は強権を振るっていない。
 普通といって良いのか分からないが、あえて普通は強権を振るい、変えたのだ
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