赤い大地の激昂
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と、男性は少し考えた後に答えた。
『そうだね・・・とりあえず慌てる事はないよ、ジェメリィ。『あの方』からの命令はない。という事は、私達が動く必要もないという事だ。まぁ、彼女が興味を示すものがあれば、再びその場に行くだけだけどね』
魔水晶に映る男性はそう言って、いたずらっぽく笑う。
『もうすぐ迎えをそっちによこすから、それまでは戦いの傷を癒しているといい。星竜の巫女と戦ったんだ。すぐに傷は治らないだろうからね』
「うんっ!ありがとね!」
ジェメリィは笑い、右手をヒラヒラと振った。
「リーダー!」
「・・・ふぅ」
とある建物に、その男性はいた。
赤い髪をかきあげ、溜息をつく。
「Rシステムの件は残念だったわ」
「・・・いたのかい?シグリット」
シグリットと呼ばれた女性は微笑みながら、男性の隣に立った。
ふわり、と赤い髪が揺れる。
「でもいいわ・・・私達によみがえらせたい人間なんていない。『あの方』が命じない限り、ね」
男性の腕に自分の腕を絡め、満足そうに笑みを浮かべるシグリット。
そんなシグリットを見つめ、男性も優しい笑みを浮かべた。
「にしても・・・何の偶然だろうね。いや・・・必然か?それとも、元々決まっていた運命・・・まさか、3人が同じ場所に集うとは・・・」
呟いて、建物の壁に目を向ける。
そこには、3枚の写真。3枚とも別の人が映っていて、目線が外れ、体すらこっちを向いていない事から隠し撮りだろう。
「アマリリス村の生き残り・・・ルーレギオス・シュトラスキー」
1枚目に映るのはルー。
紅天のボラの奴隷船で暴れた時の写真だ。
「カトレーンの異端児、星竜の巫女・・・ティア=T=カトレーン」
2枚目に映るのはティア。
アカネビーチでパラソルの下で魔法書を読んでいる写真だ。
「そして・・・」
こうなれば、3枚目に来るのは必然的にあの青年。
前2人とは同じ分類に分けられる魔法を使い、そして面白ければ全てよし、の思考を持つ男。
男性は微笑み、その写真を―――幽鬼の支配者の巨人の手の上で銀髪の恋人を抱きしめる写真だ―――見つめた。
「光に生きる闇の子・・・アルカンジュ・イレイザー・・・」
エルザは、その時思った事を恥ずかしそうに、あたしにだけそっと話してくれたの。
それは、あの塔の暴発を防いだのは、もしかしてジェラールかもしれないって事。
あの時、ゼレフの亡霊から解放されて、昔の優しかったジェラールに戻ったのね。
そしてエルザの代わりにエーテリオンと融合して、魔力を空に逃がしたの。
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