第五話 日常での異常
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だよなぁ」
ははは、と笑いながら歩を進める。
現実は実に面倒である。
これがアニメや漫画ならもう物語が始まって、こんな面倒なイベントをこなさなくて済むものだろうに。
「それにしてもDSAAか……」
『あんまり参加する意欲は湧かないと便利屋始める前に知った時にも言いましたね』
懐かしいものである。
戦争が終わって最初の一年はどうしようかと色々路頭に迷ったものである。
その時に確かテレビで知ったのがDSAAで知名度を上げるという意味ならば確かにもっともいい方法だったのかもしれないが
「ありゃ俺には合わないって一瞬で思ったわ。観客を沸かす戦闘なんていう派手な戦いなんて俺には荷が重過ぎるからな」
『とは言っても何時も通りに一撃必殺だけかますだけじゃあ引っ掛からないかもしれない。ジレンマですが仕事だから仕方がないでしょう』
「それくらいは解っている」
はぁ、と溜息を吐いて歩く。
ここで愚痴だけ零しても無駄なのだ。
隣で珍しい黒髪で長髪の少女と擦れ違うが、そんな事すらどうでもいいと思えるくらいだ。
何とか闘技場映えするような戦いをしないとなぁ……
時間は本当に少しだけ逆行する。
少女の目から見たら世界はまるで非常に脆い硝子細工のように見えた。
建物が、街灯が、車が、自転車が、道路が、そして人が。
何もかもが脆く見えた。
建物は撫でたら砕けそうだし、街頭は握ったらそのまま折れそうだ。
車などあっという間にプレスされる未来しか見えないし、自転車なども言うまでもない。
そして人など余りにも多くい過ぎて逆に一瞬で何もかもを粉砕して柔らかい人体の構造をそのまま露出させてしまうんじゃないかと思うと恐怖で歯が震える。
恐ろしい。
それが少女の原初の思いだった。
地面を踏みしめるだけで地面なんか脆く崩れそうだし、流れるような人波が自分に触れるときは慌てて後ろを確認してしまう。
今の自分が安心して見れるものはそれこそ空くらいしかない。
自分の薄汚れた格好のお蔭で周りが避けてくれる事だけが、救いであった。
町の中で生きるには余りにもおぞましい自分にはここは毒だ。だから、うちはせめて寝床を探そうと周りを恐れながら歩いていた。
そんな時であった。
目の前から人型の悪夢としか思えない存在が現れた。
「ひっ……!」
口から洩れた悲鳴なんて可愛いものであった。
正面から現れたものに比べれば。
見た目はただの少年に見え、服装も適当に選んだとしか思えない黒色の服装に黒髪。
首からはアクセサリーかデバイスか。十字架をぶら下げてとてつもなく面倒だという表情のままこちらに向かっている。
周りの人間は勿論、気にしない。
冗談じゃない。
どうしてあん
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