第五話 日常での異常
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ある事やねん。夢破れた。もしくは職が。家が。受験が。興味が。健康が。そういった色々な理由で毎回出るというわけやないし。だからそういう意味で発見が遅れた。まぁ言い訳やな。とりあえずいやらしいことに年々有名どころじゃないけどちょっとした選手が出なくなっていたんや」
つまり消えても別に騒がれない程度の選手を狙っての犯行。
やる事がいやらしいというのはこの事か、と思うがそれに関しては俺が思うのは筋違いというものだろう。
「それにしても気づくのが遅過ぎるだろうが。観客には気づかれないかもしれないけど家族や友人が騒ぐだろ普通」
「そやね。騒ぐ人もいてくれたならな」
そりゃ用意周到なことで。
だから隣のハラオウンがこの話を終始不愉快そうに話を聞いているだけだったのか。
「なら逆に気付いた切欠は?」
「一人の管理局員が失踪した───フェイトちゃんの同僚の人みたいやけど」
ふぅん、と客観的に考えれば自分の反応は冷たいものなのかねーと思いつつ本人を見るが本人は真面目顔。
その程度には折り合いが付けているという事なのだろう。
なら、躊躇するのは相手には悪いと見切り遠慮なく聞く。
「その人は優秀だったのか? ハラオウン」
「……間違いなく。魔導師としての実力云々だけで言うなら多分私の方が上だったかもしれないけど執務官という一職務としてならばベテランクラスだった人だと思う。だから勘違いや自分勝手で失踪っていう線はないと思う」
『一応聞きますが、それは私的な意見ですか? それとも公的な意見ですか?』
ハティが抉り込む様にハラオウンに突っ込む。
ハラオウンの口が一瞬沈黙の形を作ったが、それでも冷静な表情で後者だよ、と呟くのでこちらもとやかく言わずに先に進める。
「限りなく黒に近いが……それでもまだ灰色だ。それに幾ら騒ぐ人間を失くしても逆にいなくなり過ぎたら目立ち過ぎるだろうが。その辺は?」
「多分やけど最低限の暗示でもかけているんやと思う……それに狙われた側も孤立している人の家とかも多かったし……」
「……やれやれ。行き詰るね、どうも」
全員で盛大に溜息を吐く。
頭が痛くなる状況に紅茶の甘みを入れることで頭痛を緩和する。
コーヒーだったらこうも気分転換は出来なかったかもしれない。
「じゃあ、続きだ。これは内部犯か? それとも外部かという事になるんだが」
「残念やけど……お手上げやねんははは───いやいやちょっとそこで五寸釘を懐から取り出すのは止めようか。あ、ちょっとっフェイトちゃん? このバインドは何かなー? ご丁寧に指を広げて……ああ待った待った蝋燭は不味い不味い不味い……!」
「なぁ、ハラオウン。知ってるか? 人間は指に神経が詰まっているらしいぞ」
「そうな
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