暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode19:誘拐
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の強烈なアッパーカットが護衛の男の一人を沈めていた。


「困るんだよねえ、九十九家(ウチ)に黙って、そういう横流しされるの」


隼人のこのセリフで、護衛の男達は目の前にいる少年が何者なのかを悟った。
だが、それは現状を変えることにはならなかった。
それに、気づくのが遅すぎた。
男達が相手にしているのは、裏世界で武器の流通を管理している九十九家であり、そして、どんな人間でも抹殺する、掃除屋でもあったことに。


「フッ!」


隼人の拳が、驚愕で構えが解けた中央の男の顎を捉え意識を飛ばした。続いて投擲された短剣が、左の男の腕に刺さる。腕を貫く痛みで我に返って慌てて態勢を整えようとして、男は短剣に括り付けられていたワイヤーに気づいた。


「インライト」


「ガッぁぁぁぁぁ!?」


隼人からワイヤーを伝って迸った高電圧の電流が男を焼いた。だが、殺すには至っておらず、感電して男は意識を失って硬い地面に倒れこんだ。


「……!」


「くっ!」


隼人のベレッタと、護衛の男の持つアサルトライフルが互いの標的に照準を合わせていた。
しばらく睨み合う二人。先に動いたのは隼人だった。一瞬で照準を男の頭部からライフルを握る左手に変えると、引き金を一度。乾いた音と衝撃が響き、男は負傷した左手を押さえるためにライフルを取り零した。それが、致命的な隙になった。たった一歩で10m以上あった距離を詰めると、隼人は手刀で男の意識を刈り取った。
倒れ伏した四人の護衛を順に一瞥して、隼人は最後に黒づくめの男を見た。


「さて、アンタが雇った護衛はご覧の有様なのだが…」


視線に、まだ続けるか?という問いを乗せて男を睨む。隼人から発せられる圧倒的な威圧感に、男の全身から脂汗が吹き出した。
『作戦失敗』と『死』。二つを覚悟した男の耳に、ずっと待ち望んでいた音が聞こえたのは自身の首筋にナイフを触れさせた直後だった。


「っ、ヘリ!?」


激しい突風が屋上を襲う。顔を腕で覆う隼人を他所に、男は歓喜に満ちた顔でゆっくりと降下してくるヘリコプターを見上げていた。


(くそっ、こんなに大規模な組織だったのか!?)


隼人は、敵をずっと元となる小規模組織が中大組織に護衛の依頼を頼んだありがちなパターンだと思い込んでいた。だが、その実態は違った。
最初から敵は一つの組織。更に、ヘリコプターをも所有している大組織だったのだ。


「くそっ、待て!」


気づいたときには、既に黒づくめの男は雫を抱えてヘリに乗り込んでいた。そして、ヘリはそのまま仲間の男達を拾うことをせず上空へ逃れ始めた。


「このっ、待ちやがれ!」


叫び、隼人は場所を考えずヘリを落
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