Episode19:誘拐
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
勿論、隼人の的ではない。一人目をワイヤーで拘束し自己加速で素早く二人目の背後に回りこんで意識を奪うと、ライフルを構える三人目に向け移動と加速の術式を掛けた短剣を投擲。軽くコンクリートの壁を貫くであろう威力を孕むそれは、ライフルを銃口から斬り進み、男の肩口に深々と突き刺さって止まった。そのまま隼人は肩の痛みに悶える男から短剣を抜き取り手刀で意識を奪うと、残る拘束された一人目を鳩尾への強烈な正拳突きで昏倒させた。
「さて、残るは最上階だけど…いないね」
世界の心眼で頭上の様子を視た隼人は溜息を漏らしていた。雫がこの雑居ビルにいるのは、見張っていたほのかが言うのだから間違いないのだろう。だとしたら、人質含む残りの犯人は、
「屋上、ね…何を企んでるのか知らないけど厄介なことになる前に早めに行ったほうがいいか」
ベレッタの残弾を確認して、隼人は素早く四階へと上った。
やはりそこには人の姿はなく、代わりに屋上へ続くであろう梯子の先にある、普段蓋の役割をしているマンホールが外されていた。
「…これまた随分と端っこにいるな、強襲は無理か」
世界の心眼で屋上の様子を視た隼人は、観念したように呟いて雷帝を発動した。人の反応は六名。そのうち、一番真ん中にいるのが雫と見てよさそうだった。だが、敵の隙をつくには少々厄介な場所にいるため、隼人は奇襲を諦めた。そして、梯子を使うことなくジャンプで一気に屋上に到達する。
「…へえ、結構な護衛連れてるじゃないの」
嘆息交じりに呟いた隼人の目の前には、手を後ろで縛られた雫を抑える黒づくめの男に、それを守るように立つ如何にもな格好をしたボディガード四人だった。その六人は、固まって屋上の隅にいた。どうやら雫は気絶しているようだが、目立った外傷はない。
隼人の姿を認めた護衛四人が、戦闘態勢をとる。どうやらそれなりに訓練を受けているようで、袖口からナイフを取り出す動作に淀みは見られなかった。
だが、隼人が注目したのはそこではなかった。
「……おかしいと思ってたんだよね。下にいた奴らの腕は大したことないのに、武装だけは一丁前のことに」
護衛たちから、殺気が溢れ出した。隼人のセリフから只者ではないということを理解したのだろう。
「アンタらなんだろう?ソイツらに、武器を流したのは」
護衛からの返答は、言葉では帰ってこなかった。代わりに突進してくる一人の男。
先陣を切るだけあって、度胸とそれに見合う技量はあるようだが…
「ガフッ!?」
190以上もあるであろう長身の男が宙を舞った。驚く他の護衛達の視界の先には、拳を振り上げた隼人の姿。
雷帝により筋力が強化された隼人
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ