Episode19:誘拐
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見ると、ほのかの格好はまだ制服のままだった。大方、放課後に遊んでたところを狙われたか。
「ほのか、一つ聞いていいかい?」
取り敢えず、シルバー・フィストを手に嵌めながは俺はほのかを見据えた。
「なんですか?」
「雫が攫われた理由はわかる?」
もし、雫とほのかが二人でいたのなら、なぜ雫だけ攫われてほのかが攫われなかったのか。俺は、それが気になった。
「あの、雫の家ってすごく裕福なんです」
「なるほどね、OK分かったよ」
雫の家が裕福、それだけで犯人達の狙いは分かった。金目当ての誘拐か。まったく、雫になにか凄い秘密でもあるかと思ったけど勘違いだったようだね。
「さて、俺はこれからあのビルに突入する。ほのかはそこで待っていてくれ。あと、なるべく警察含める第三者の立ち入りを警戒しておいてくれるかな?」
「は、はい!お願いします!」
ほのかの声を背に、俺は再びあの雑居ビルに踏み込ーーーもうとした。
「あ、あのっ!」
「ぐへっ」
しかし入り口の直前でほのかに顔を隠すためにしていたマフラーの端を掴まれてみっともない声をあげてしまった。てか苦しい。
「ああ、ごめんなさい!」
「いや、大丈夫だけど…急に引き留めてどうしたの?俺今結構カッコ良く乗り込もうとしてたんだけど」
出鼻を挫かれた。とはいえなにか言いたいことがあるのだろう。俺は何度も謝るほのかを宥めながら言葉を待った。
「あの、雫を攫った人達は拳銃とか持ってたんですけど大丈夫なんですか?」
「ああ、なるほど。心配いらないよ、いざとなったら全力で魔法使うしね」
嘘だった。てか、俺が全力を出したらここら一体の物質という物質が消え失せてしまう。
それは自信過剰でもなんでもなくて、一度魔法を暴走させた時に実際にあったことだ。
「……それじゃ、行ってくる」
まだ不安そうな表情を浮かべているほのかの頭をポンポンと撫で、俺はビルの内部へと侵入した。
四階建てになっているこの雑居ビルは、つい先週までブランシュの補助部隊が使用していたこともあってかそれほど荒れてはいなかった。ただ、あの日侵入したときよりも、空間中に漂う酒の匂いが強くなっているように隼人には感じれた。
先週消し去った入り口のドアは消えたままで、流石に開けっ放しのドアがある一階には敵はいないようだった。
「…さて、雫はどこにいるのかな?」
首に巻いたマフラーで顔半分を覆いながら、隼人は頭上を振り仰いだ。
途端に見える極彩色の世界。活性化されたサイオンが、隼人に敵の人数や配
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