暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode19:誘拐
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キャッチした。


「これは、短剣…?」


受け取ったお土産は、真っ黒くてなんの装飾もない、まるで『斬る』ためだけに作られたような短剣だった。


「ああ。俺の知り合いに腕のいい鍛冶屋がいてな、旅行ついでにそいつの所に寄って、打ってもらった」


鍛冶屋の知り合いなんて、この時代ぜんぜんいないのではないだろうか。
父さんの少し可笑しな人脈に苦笑いしながら、俺は妙に柄の短い短剣をマジマジと見ていた。


「その剣はな、握って振るために作られたわけじゃないんだ」


「へ?それ剣じゃなくない?」


振るために作られたわけじゃない剣。ううむ、矛盾している。


「それは投擲剣と言ってな、用は投擲ナイフと同じだ」


「ああ!そういうことねー」


なるほど、だからこんなにも柄が短いのか。んー、投擲剣か…


「これって、電気伝導性はどうなんだろ?」


「さあ、詳しいことは分からないがセラの戦い方を見て作られたらしいからな、多分電流くらいは流れるんじゃないか?」


なんとも適当な説明だ。でもまあ、流石に父さんでも製鉄は詳しくないのか。父さんでも知らないことがあるって、なんか不思議だな。


「ん、ありがとう。大切に使わせてもらうよ」


取り敢えず、この短剣の使い方はあとでゆっくり考えることにしよう。
父さんから納刀するケースを受け取って納める。


「ああ、あと、これも渡しておく」


そう言って手渡されたのは、一丁の拳銃だった。すべてが黒で作られている、美しいハンドガンはズシリと重かった。そして、俺の手にとてもよく馴染んだ。
銃。それは、殺すために作られた凶器だ。魔法とは違い、手加減はできない。引き金を引くだけで人の命を簡単に奪えるもの。先ほどの短剣のように、ただ一つの目的のために、「殺す」ためだけに作られたものだった。


「訓練時代に隼人が使っていた銃だ。更にあの時より改造して、より軽くしておいた」


「……ベレッタ…」


ベレッタM92F。これは、俺が九十九家の暗殺者となるために訓練を始めたときに使っていた銃であり、初任務以来父さんに預けていたものだった。
これを父さんが再び俺に渡すということは、父さんが俺を認めたということを意味していた。


「『殺し』を嫌うお前にコイツを預ける意味、分かるよな?」


「…うん。俺は、コイツでナニカを守るために使うよ」


俺は暗殺者なのに殺しが嫌いだ。だけど殺しは守ることに繋がる。俺は、そういった殺ししかしない。仲間を守る。自分を守る。情報を守る。そのためだけに、俺はコイツを使う。


「ん、ならいい。がんばれ」


「うん」


甘いと言われ
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