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乱世の確率事象改変
夕暮れ、後に霞は晴れ渡りて
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ええ、また乱世で」
 背を向け歩き出す二人を見ながらふっと一つの心残りが頭を掠めた。
「……張遼殿」
 思わず呼びかけると彼女は歩きながら顔だけこちらに向ける。
「あなたは酒が好きとの噂を聞いた。今日の月は地平に落ちず、詩を詠めるくらい綺麗に輝いてるから酒が美味いだろうよ」
 俺の言葉に少し悩み、やがて隠された意味を悟ったのか目を見開き、次いで優しい笑みに変わり彼女は笑った。
「あはは! あいつの事考えながら飲もうかと思うてたとこやし、お月さんが綺麗なら今夜の酒はとびきり美味いやろなぁ! そのうちあんたとも飲んでみたなったわ! ほななー」
 そんな言を残して手を振って去っていく。
 彼女らと会わせてあげたい。しかしお互いの立場からそんな事は出来ない。
 せめて出来る事はこれくらいだろう。

 見上げると、綺麗な満月が街道に一人佇む俺を優しく照らしていた。



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