プロローグ
夏の朝
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なんてことない朝、なんてことない太陽……いや太陽はギラギラとしているけれども。
とにかく言いたかったことは人生は何の変哲もないものだということ。
だってそうじゃないか? ゲームなんかすぐにクリアしてしまうし、スポーツだってできるけれども別段好きなわけではない。勉強なんか授業を聞いているだけですぐに学年一位になってしまった。
――――そして俺は気付いてしまった。『ああ、人生なんてなんにも変わらない、くだらない』
子供の間は衣食住に困ることも無いのだからなんて刺激の無いものなんだろう、世界って。
要は刺激がほしいんだ。
体を駆け抜ける電撃のような刺激が……。
「カナタにぃ、朝ごはん作ったからいつまでも自分の部屋にいないで下りてきてよぉ〜」
少し鼻にかかるような声で俺を呼んだのは妹の 梢だ。今年中一になったから中三の俺とは二歳差か。甘い声からは想像するのは難しいが実は梢は結構な美人なのだ。整った顔つきをしているというか――
「にぃ?」
「ごめんごめん。今行くから」
俺はすぐに制服に着替えて二階からリビングに下りた。おいしそうなトーストと目玉焼きの匂いが鼻をくすぐる。自然とお腹がすいてきた。
「ねえ、にぃ、私の制服おかしくないかなあ」
「お前毎日それ聞いてるだろ、もう進学してから三カ月じゃないか」
「何回聞いてもいいでしょ、それとも私に対する感想を聞かせてとか言わなくちゃいけないの? はずかしいじゃない、そんなの」
もじもじと体をくねらせる梢に思わず可愛いと思ってしまった。でもしかしそんなこと言うと調子に乗るのは分かってる。ここは兄としての余裕を見せなければなるまい。
だからトーストをかじりながら
「ああ綺麗だな、制服が」
と言ってやった。
すると梢は目に涙をためてしまった。今にも涙があふれそうになっている。
「じょ、冗談だ梢! とっても可愛かったし綺麗だった。お前はほんとに自分に自信を持っていいぞ!」
ふぅ、兄の余裕なんてどこにあるんだと心の中で苦笑する。
「ほんと? 私可愛い? にぃは私のこと好き?」
「なんで好きとかそこまで飛躍するんだよ……。好きにきまってるだろ、俺らは二人しかいない兄弟なんだから」
「兄弟……か、そうだよね、私もカナタにぃのこと好きだよ」
一瞬顔が翳った気がする。なぜだ?
まあいいか。とにかくこんななんてことない日常が何度も何度も繰り返されて。あほらしく意味が無い。それがこの世の理なんだろうか。
だとしたらそれはまったくもって許せない。
停滞は死と同義だ。
不変は無と同義だ。
だとしたらこの世界は死んだ、なにもない世界ということになってしまうじゃないか。
だから俺は変わりたい。この
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