第五章
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来るぞ」
その時にだというのだ。
「そうなればな」
「そうなんだ、僕達もお祖父ちゃん達みたいになれば」
「そうした綺麗なのが観られるのね」
「観たいと思ったら観るんだ」
向かい側の席の方にいる桑原と彼の孫達も観て言う。
「そうなるんだぞ」
「お祖父ちゃんみたいに働けば」
「そうなれるのね」
「働くのは大変だぞ」
その頃のことも思い出す、朝早くから家を出て夜遅く帰る。しかも会社では忙しく部下達の面倒を見て上司にはハッパをかけられる。
それでだ、彼は孫達に言うのだ。
「それでもいいというのなら観るんだ」
「夜の電車の外をね」
「お仕事の帰りに」
「観るんだ、いいな」
こう孫達に言ってそしてだった、彼は今は昼の車窓を観る。
もう夜の車窓の外とそこにある光達を観ることはなくなった、だがその時の光の素晴らしさを語ってその光達を懐かしむのだった。
そしてだ、こうも言うのだった。
「忘れらない位だからな」
「うん、じゃあね」
「絶対に観るね」
孫達も応える、彼は彼等の言葉も温かい笑顔で受けたのだった。
夜行列車 完
2013・8・30
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