第八章
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「食べるものじゃないよ」
「イギリスって確か世界帝国だったのよね」
「歴史の教科書ではかなり有名な方だよね」
テストには絶対に出る国だ。
「それでもね」
「お料理はなのね」
「ファッションとかはともかくね」
料理は論外だというのだ。
「あまりお勧め出来ないから」
「そうなのね」
「そう、僕なら平気だろうってよく言われるけれど」
「ウィリアム日本人だからね」
「うん、味の好みも日本人だから」
日本に生まれ育っていればそうなる、そこには肌の色や目の色なぞ全く関係がない。そこにあるものなのだ、大事なのは。
それでだ、こうも話すのだった。
「イギリスのはね」
「そうなの、じゃあね」
「それじゃあ?」
「日本の味でね」
ウィリアムが好きなだ、それでだというのだ。
「イギリス料理作ってみるわね」
「ははは、それで本場の料理より美味かったらね」
「面白いわよね」
「イギリス人はかたなしだよね」
笑ってこう言うウィリアムだった。
「特にコックさんは」
「まさかそこまで美味しくなるとは思わないけれど」
「いや、なるよ」
絶対にだとだ、ウィリアムは断言した。
「そこは安心していいよ」
「そうなの?」
「僕は食べて噂以上だって思ったから」
つまり噂以上のまずさだったというのだ。
「一緒の店にいた色々な国の観光客がね」
「どうなったの?その人達は」
「口の中に入れたものを出しそうになったよ」
あまりものまずさで、だというのだ。
「僕もそうなりかけたから」
「というか何食べたのよ」
「ビーフシチューだよ」
これだというのだ。
「普通誰でも作られるよね」
「カレールーと似た作り方だからね」
それこそそんな感じで作られる、有紗にとっては簡単な料理の一つだ。
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