第三章
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「絶対にね」
「そうなのね」
「そうだよ、あと有紗」
「何なの?」
「もうすぐ有紗の誕生日だよね」
話題を変えてきた、今度の話題は彼女に関するものだった。
「そうだよね」
「そうだけれど」
「プレゼント楽しみにしておいてね」
その上品な顔を明るくさせての言葉だ。
「とっておきのをプレゼントするからね」
「とっておきって?」
「その時まで内緒だよ」
プレゼントをするその時までというのだ。
「まだね」
「気になるわね」
「気になるのがいいんじゃない」
逆説的にだ、そうなるというのである。
「そうじゃない」
「悪戯とかしないわよね」
「あはは、僕はそんなことはしないよ」
有紗の今の問いは笑って否定した。
「絶対にね」
「だといいけれど」
「楽しみにしておいてね。それでね」
「それで?」
「お腹空いてない?」
ここでこう有紗に問うたウィリアムだった。
「少しね」
「ううん、私も走ったしね」
有紗は陸上部だ、長距離のホープで今日もかなり走っている。それで相当のカロリーも消耗してきている。
それでだ、こうウィリアムに答えたのだ。
「結構ね」
「晩御飯もあるけれど」
それぞれの家のものである。
「その前にね」
「何か食べていく?」
「ラーメンがいいかな」
ウィリアムはくすりと笑ってこれを食べようかと提案した。
「それにする?」
「ラーメン?」
「それでどうかな」
「別にいいけれど、ただいつもウィリアムってラーメンとかお好み焼きとかおうどんとか言うわよね」
「それがどうかしたのかな」
「いや、イギリス的じゃないってね」
そう思うというのだ。
「ここでサンドイッチとかスコーンとかは言わないのね」
「だって僕生まれは日本だし国籍もそうだからね」
外見やルーツはともかくとして、というのだ。
「お父さんもお母さんも今じゃ国籍は日本だから」
「それでなの」
「そう、だからね」
彼もだというのだ。913
「日本人だよ」
「ただ肌や目の色が違うだけっていうのね」
「そんなの大した違いじゃないじゃない」
ウィリアムはこう有紗に言う。
「そうだよね」
「まあね、ウィリアムは日本に生まれて育ったけれどね」
「お父さんとお母さんに教えてもらったから英語は喋られるよ」
書くこともだ、それは出来るというのだ。
だが、だ。それでもだと言うのだ。
「けれど僕は国籍も日本だからね」
「特別扱いは無用よね」
「食べるものもね、ラーメンだって好きだし」
中国起源の筈だが今では完全に日本の国民食になっているこれもだというのだ。
「お好み焼きもたこ焼きもね」
「あとおうどんもよね」
「天麩羅うどんは最高だよね」
うどんの中でも特にだというのだ
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