第三章
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「喧嘩している恋人同士を仲直りさせてくれたんだから」
「晴れの方がいいってばかりじゃないんだね」
「世の中晴ればかりじゃないじゃないか」
知人はこうも言った、
「それなら雨でもね」
「人の仲を仲直りさせてくれるのならね」
あの雨もだというのだ。
「いいものだよ」
「急に来るのは迷惑だけれどね」
「晴ればかりじゃないならその雨もいいものなら余計にいいと思わないかい?」
知人は僕にこんなことも話してきた。
「そうじゃないかな」
「そういうものかな。ところでだけれど」
「そうそう、今からね」
「大阪ドームに行こうか」
今日観戦する試合が行われるその場所にだというのだ。
「そこにね」
「そうだね、今日のカードは巨人阪神だったね」
「そうだよ、チケットもあるし」
二枚だ、勿論二人共一塁側である。
「今から行こうか」
「そうしよう。しかしいい時代になったね」
「地獄のロードでも大阪の球場が使える時があるからかい?」
阪神の本拠地甲子園球場は夏の間は高校野球が行われる為使用出来ない、そのせいで阪神は夏の一番疲れる時にビジターの試合、遠征ばかりになり余計に疲れが蓄積される。それで毎年優勝出来ないとも言われている。
だが今は大阪ドームがある、甲子園の近くにある球場なのでいざという時はそこをホームの様に使えるのだ。
だがこのことについてだ、彼は笑って僕にこう言った。
「それもあるけれどね」
「雨かな」
「そう、雨が降っても野球が出来るからね」
このことがだというのだ、
「いいね」
「そういうことなんだ」
「うん、雨で巨人が負けるのを観られなくなるのは寂しいじゃないか」
「ははは、確かにね」
「阪神は勝っても負けても絵になるよ」
これが阪神だ、どんな勝ち方でも負け方でもお家騒動でも絵になる、勿論胴上げも。しかし巨人はというと。
「巨人は格好悪く負けないとね」
「そうだね、そのことはね」
「じゃあ行こうか」
「今からね」
こう話してだった、僕達はミスタードーナツを出てだった。
大阪ドームに向かった、そしてそこで。
一塁側の席に座る、そのうえで観戦をはじめるが。
藤浪は三回までは好調だったが四回に捕まり一点取られた、僕はこの一点について知人に難しい顔でこう言った。
「まずいね」
「うん、そうだね」
知人も僕の言葉に頷いて答える。
「これはね」
「阪神だからね」
「阪神は打たないからね」
それも伝統的にだ、ダイナマイト打線は本当にいつも少しの間だけの期間限定だ。ミスタードーナツの期間限定商品より僅かな間だ。
「だからね」
「うん、今日もかな」
「阪神は三点か四点あれば勝てるよ」
知人はこうも言う。
「ピッチャーがしっかりしているからね」
「
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