第二章
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その暗くなった空から雨が降ってきた、しかも只の雨ではない。
所謂ゲリラ豪雨だ、それが来てだった。
街を行く人達は慌てて逃げ去った、蜘蛛の子を散らす様に。
そして二人もだ、そのゲリラ豪雨に遭い。
二人共慌ててミスタードーナツの中に入った、ここまではお決まりの展開だ。
そして店の中でどんなやり取りがあったのかわからないが雨が止んでから。
二人が出て来た、その時には雨が降るまでの喧嘩は何処へやら。
手をつなぎ合ってにこにことしてだ、こう話していた。
「まあ何処でもいいよな」
「そうよね、何処に行ってもね」
男も女もにこにことしてお互いを見やって話している。
「一緒だしな」
「行くんだからね」
「じゃあジャンケンの結果通りに」
「まずは本屋さんに行ってね」
そのジャンケンは男の主張を適えたらしい、話を聞いていてそれがわかった。
「それからアクセサリーショップでね」
「次に球場行こうか」
「巨人阪神戦ね」
「阪神勝てばいいな」
「そうよね」
二人共阪神ファンだった、球界はおろか日本の忌むべき腐敗の象徴巨人ではなく阪神の勝利を願うということからこのことがわかる。
「最近調子がいいしな」
「ピッチャーが特にね」
「折角だから今日はな」
「藤浪完封とかね」
こう笑顔で話しながらだった、二人は今は幸せに何処かへと姿を消していった、その全てを見届けてからだった。
僕は今までいた店、そこの窓側の席から一部始終を観ていたがそこを出て二人が中に入ったミスタードーナツの中に入った、そこで三個程お気に入りのドーナツと紅茶を頼んで。
そのうえで待ち合わせをしていたが僕が場所をここにしようと携帯で連絡をしていた知人が来ると彼にこのことを話した、知人はこのことを聞くとこう僕に言った。
「よくある痴話喧嘩だね」
「そう思うね」
「うん、完全にそれだよね」
「そうだね、言われてみれば」
僕は知人のその言葉に頷いて返した。紅茶を飲みながら。
「ごく普通のありふれた」
「けれど面白いね」
「面白い痴話喧嘩かな」
「うん、ハッピーエンドに終わったから」
その痴話喧嘩がだというのだ。
「面白いよ」
「これがバッドエンドだったら違うんだね」
「喧嘩別れをした場合はね」
「その場合は面白くない痴話喧嘩だね」
「そうなるよ」
これが知人の言葉だ。
「けれどハッピーエンドだから」
「面白いんだね」
「そう思うよ、そうした意味でもね」
知人は自分が頼んだドーナツ、エンゼルショコラを手に取って一口食べてから僕に述べた。
「さっきの雨はよかったね」
「凄い雨だったけれどね」
ゲリラ豪雨はいつも急に騒がしく来る、街を涼しくしてくれるがそこには風情はない。だから僕はあまり好きじゃない
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