第一章
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晴ればかりじゃない
二人はこの時言い合っていた、その理由は至って下らないものだった。
「だから最初は本屋さんだろう?」
「違うわよ、最初はアクセサリーショップよ」
それぞれ顔を向かい合わせて言い合う。
「いや、本屋さんでまずは本を買って」
「可愛いブローチを買ってね」
「それからでいいだろ」
「まずはそこからじゃない」
言い合う、見れば男女のカップルだ。二人は待ち合わせ場所にいていたミスタードーナツの前で言い合っている。
その前でだ、女の方が言うのだった。
「そもそもあんた本屋さんで何を買うのよ」
「決まってるだろ、ゲームの攻略本だよ」
男ははっきりと言い切った。
「それだよ」
「ゲーム!?そんなのネットで検索出来るじゃない」
それで解決出来るというのだ。
「簡単に」
「違うよ、ゲームの攻略本はさ」
男はあくまで主張する。
「それはそれで味があるんだよ」
「ゲームは攻略出来ればいいでしょ」
これが女の言い分だ。
「それで」
「わかってないな、ゲームってのはな」
「だから攻略出来ればいいでしょ」
「それだけじゃないんだよ」
こう言うのだった、男は。
「まさにそれはな」
「夢?ロマン?どれだっていうのよ」
「どちらもだよ」
その両方だというのだ。
「まさに生きがいなんだよ」
「だから攻略本を買うっていうのね」
「それで最高に幸せな気分になってな」
そのうえでだというのだ。
「デートをしようっていうのがわからないのかよ」
「全然、それならね」
女はむっとした顔で男に反論した。
「まずはアクセサリーでしょ」
「ブローチかよ」
「そうよ、ブローチを胸に飾ってね」
そのうえでだというのだ。
「最高に幸せな気分でよ」
「違うだろ、それは」
「違うっていうの?」
「本は心を豊かにしてくれるんだぞ」
男の言い分ではこうだった。
「だからまずは本屋さんだよ」
「何言ってるのよ、胸にブローチがあればね」
女はその男に言い返す、きっとした顔になって。
「それを見て心が豊かになるでしょ」
「胸を見ればか」
「そうよ、なるでしょ」
こう言ったのである。
「だからここはね」
「いや、だからな」
まだ言う男だった、本当に強情な感じだ。
「本屋さんじゃないとな」
「駄目っていうのね」
「そうだよ、大体約束しただろ」
最初は本屋に行くとだ、男の言い分ではそうらしい。
「だからまずはな」
「最初はアクセサリーショップでしょ」
だが女は女でこう反論する、話は見事なしかもどうしようがないまでな平行線だった。ここまでの平行線も珍しい。
「そう約束したじゃない」
「いや、本屋さんだ」
「アク
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