第八章
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そのうえで東京に戻り小平に話した、そのことはというと。
「小平さんの言葉がわかったよ」
「そうですか、それは何よりです」
「うん、僕達は血はつながっていないけれど」
それでもだとだ、こう言うのだ。
「親子だよ、紛れもなくね」
「絆がありますからね」
「親子っていうのは絆なんだね」
慎太郎はそのことがわかった顔で言うのだった。
「そうなんだね」
「その通りです、ではこれからも」
「うん、僕の両親は父っちゃんと母っちゃんだよ」
実の両親のことがj気にならないと言えば嘘になる、だがだった。
慎之介とトメは彼にとって紛れもない両親だ、この絆を感じ取りながら。
彼は両親への想いをこれまで以上に確かに感じた、それでだった。
ある日源吾と共にいる時にだ、街に饅頭屋を見てこう言った。
「お土産を買おうかな」
「ご両親にかい?」
「うん、買っていこうかな」
「何か最近いつもご両親に買ってね、君は」
源吾はその彼を見て微笑んで言った。
「そうしているね」
「そうだね、確かに」
「ご両親のことを大事に思ってるんだね」
「うん、これまで以上にね」
そう思っているとだ、慎太郎自身も言う。
「思っているよ」
「そうなんだね」
「父っちゃんも母っちゃんも僕の両親だよ」
血がつながっていなくともだというのだ、ただ彼は小平以外にはこのことを誰にも話してはいない。両親にも本人達には話しtげはいない。
「だからね」
「それでなんだ」
「うん、こうしてね」
お土産を買ってそうしてだというのだ。
「喜んでもらえればって思ってね」
「親孝行だね、けれどね」
「けれど?」
「いいことだね」
親孝行、それ自体がというのではなかった。源吾が何故こう言ったかというと。
「そうしたことが出来る相手がいることはね」
「そうだね、僕もそう思うよ」
慎太郎も笑顔でその言葉に応える。
「そうした両親がいてくれてね」
「ご両親も喜んでくれてるよ」
その慎之介とトメもだというのだ。
「絶対にね」
「だと余計に嬉しいね」
慎太郎は見返りは求めていなかった、だがだった。
「こうしたものを買うのはね」
「いい親子だね」
源吾はその彼に笑顔でこう言った。
「君とご両親はね」
「そう思うよ、いい親だよ」
慎太郎も源吾の言葉に明るい声で返す。
「僕にとってかけがえのないね」
「いいことだよ。そうした親がいるだけでね」
本当にそれだけでだというのだ。
「人は幸せだと思うよ」
「そうだね、だから僕も幸せだね」
「君の顔を見ているとそう思うよ」
こう話すのだった、今の慎太郎の笑顔はこれ以上にないまでに明るくにこやかなものだった。そこにはこのうえない幸せがあった、素晴らしい親と共に生きて
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