第三章
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「そう言うんだね」
「見つかるわよ、絶対に」
僕に対して言い切ってきた。
「見つかる筈ないわよ」
「何でそう言えるんだよ」
「だって、十字架にはイエス様がおられるのよ」
十字架なら常にかけられているあの人がだというのだ。
「そして神様がおられるから」
「だからだっていうんだ」
「そう、だからね」
こう僕に言って来る。
「今は避難しよう」
「けれど」
「絶対に見つかるから」
彼女の言葉は変わらなかった、意固地なまでに。
「今は安全な場所に行こう」
「そうだね、そこまで言うんなら」
僕も遂に頷いた、そしてだった。
警察や消防署の人達に誘導されてそのうえで公園まで逃れた、公園は避難している人達で一杯だった。
皆着のみ着ままだ、それで疲れた顔になっている。
僕達も同じだった、自分でも疲れを感じながらもほっとした感じで彼女に言った。
「とりあえずは大丈夫だね」
「そうね、これからどうなるかだけれど」
「ここでいて」
「後は様子見ね」
十字架のことは今も気になっていたけれどそれでもだった、僕達は今は公園で様子を見ることにした、余震はあったけれどそれでもだった。
それ以上のことはなかった、僕達は公園から学校の体育館に移りそこで一晩過ごして一旦家に戻った、アパートの外観は少し傷んでいる感じがしたが無事だった。
けれどだった、僕は昨日の激しい揺れのことを思い出して彼女に言った。
「外は大丈夫みたいだけれどね」
「中、よね」
「うん、どうなってるかな」
このことが不安になって出した言葉だった。
「心配だけれど」
「凄く崩れていたから」
「それはどうしようもないだろうね」
「テレビも倒れたし」
本棚の本もかなり落ちていた、僕はそのことを思いながら暗鬱となった。
ここに来るまでの道も酷かった、あちこちに崩れたり壊れたりしたものがあった、多分死んだ人もいたと思う。
アパートまでの道もよく見ていたけれど十字架はなかった、後はだった。
「アパートにあればいいね」
「十字架ね」
「うん、あればいいけれどね」
「そうね、あとね」
「うん、一旦アパートに戻ることは戻るけれど」
それでもだった。
「またね」
「体育館に戻ってね」
そのうえでだった、まだ。
「避難しておかないとね」
「壊れた家も結構あるから」
「町が元に戻るのは先ね」
「だろうね、だから」
「一旦戻って来たけれど」
今はだ、それでもだった。
「ガスと水道も止まってるみたいだし」
「体育館で暮らすことになるわね」
「復旧するまではね」
最低限ガスと水道、それに電気が復旧しないと駄目だった。幾ら揺れなくなってもそれで終わりではなかった。
僕達はそのことも思って暗鬱になった、けれどだ
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