第二章
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「効果がなかったよ」
「じゃあ次の治療法を」
してみようとだ、スタッフは彼に提案した。
「そうしましょう」
「そうだね、じゃあね」
「とにかく治してです」
スタッフも必死だった、親身である。
「また活躍して下さいね」
「絶対にね」
「諦めたら終わりですから」
スタッフは中日の人間だ、それなら中日の看板選手の一人である谷沢の復活を願わない筈がなかった。そしてそれ以上に。
「僕ずっと谷沢さんを応援してますから」
「あれっ、そうだったんだ」
「そうです、名古屋で生まれてずっと中日一筋で」
それでスタッフになってだというのだ。
「谷沢さんの打つ姿が好きなんです」
「嬉しいね、高木さんや仙ちゃんもいるけれどね」
「あの人達も好きですけれどやっぱり僕は」
谷沢、彼が好きだとういうのだ。
「ですから絶対に復活して下さい」
「わかったよ、それじゃあね」
「絶対に治りますから」
こう言って谷沢を励ます、そうして彼もまた治療法を必死に探すのだった。
だがそれは中々見つからない、何かと試してみるがそれでもだった。それでいい加減谷沢も駄目かと思いだしていた。
だがその時にだ、スタッフが目を大きく見開いてこう彼に言って来たのだった。
「あの、何か九州にですね」
「九州?」
「そこに凄いマッサージ師がいるらしいんですよ」
こう谷沢に話すのだった。
「もうね」
「マッサージ師ねえ」
もう既に何人か名のあるマッサージ師の治療を受けてきている、だがそれでも痛みは収まっておらず谷沢もあまり親身には聞いていなかった。
「どうなのかな」
「それが話してくれたファンの方のお話ですと」
「違うっていうのかな」
「はい、その人のお母さんは下半身不随だったそうですが」
その深刻な状況が、というのだ。
「マッサージで治ったそうです」
「それで僕にもなんだ」
「はい、試して欲しいと」
「ううん、どうなのかな」
「その人とは電話でのお話になりますが」
「そう、それでどうでしょうか」
「まあそれで治るのならね」
さしもの谷沢も治らずに落ち込んでいた、それであまり積極的な感じではなかった。
だがそれでも可能性がゼロではないのならと思いそれでだった。
そのファンと電話で話をしてみることにした、ファンは彼に熱い声で語るのだった。
「いや、本当に凄いんですよ」
「お母さんがそれで治ったんですね」
「はい、あのマッサージ師の治療で」
まさにそれで、だというのだ。
「治ったんですよ、下半身不随が」
「だから僕にもですね」
「是非試して下さい」
絶対に、というのだ。
「谷沢さんのアキレス腱も絶対に治ります」
「そうですか」
「はい、どうでしょうか」
「そうですね」
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