明日へ
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前に供えられた花束を、ナツが踏みつける。
「ナツ・・・止めて・・・」
「テメェ!」
ナツの行動にルーシィが悲しそうに呟き、グレイが憤慨する。
「エルザは死んでねぇ!!!」
「お願い、ナツ・・・止めて・・・」
「死ぬわけねぇだろォォ!!!!」
「現実を見なさいよォォォッ!!!!」
ナツの言動にルーシィが泣き叫ぶ。
「お前達!ドラグニルを抑えろ!」
『了解!』
クロスの命令で、ライアー達がナツを抑えにかかる。
「よせ!ドラグニル!」
「いくらオメーでも、それ以上やったら撃ち飛ばすぞ!」
「信じたくないナツ君の気持ちも解るよ!」
「だが、これが現実・・・どう足掻こうと、変わらないのだ!」
「放せぇぇっ!!!!エルザは生きてんだァ!!!!」
ライアー達に取り押さえられながらも、ナツは必死にエルザの死を否定する。
そこにゆっくりと、ティアが現れた。
「いい加減に・・・」
バシャっと水溜りを踏みしめ―――――
「しなさいよバカナツゥゥゥゥウゥゥウゥ!!!!」
ライアー達に抑えられるナツに、飛び蹴りを決めた。
蹴り飛ばされたナツは地面を2回ほどバウンドし、すぐさま起き上がる。
「ってぇ・・・何しやがんだ!ティ・・・」
いつも通り文句を言おうとして―――言葉を失う。
黒い喪服に身を包んだティアにいつもの帽子はなく、綺麗にカールしてある髪は雨でへたり、ストレートになっていた。
それも変化といえば変化だが、ナツが驚愕したのはそこではない。
「否定して何になるのよ!私だって・・・私だって認めたくない!あのエルザが死ぬわけないって・・・何の根拠もないけど思ってるわよ!生きてるって・・・思いたい・・・けど・・・」
常に強気な声が、先に進むにつれて弱くなっていく。
「目の前で、見たじゃない・・・アンタも私も・・・止められなかった・・・」
体が小刻みに震え、膝が折れ、座り込む。
へたっと座り込んだティアは体を震わせながら、顔を上げた。
「目の前で見た『死』を・・・どうやって否定しろって言うのよォォォォォォォッ!!!!」
悲痛に、ただ悲痛に叫ぶティアの、宝石のように美しい青い目からは。
―――――ボロボロと、大粒の涙が零れていた。
―ティア・・・-
普段感情をあまり出さないティアが、これほどまでに感情に流されている。
彼女は現実のみを見ているから・・・否定したくても出来ないのだ。
生きていると信じたくても、目の前で見た光景を否定する根拠がないから。
自分が物事を信じるには、口先だけの曖昧な言葉じゃなく・・・決定的で現実な根拠が何よりも必要だから。
―私は、ナツの・・・ティアの・・・皆の未来の為に・・・-
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