明日へ
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「ひどいキズだねぇ。もう1度見えるようにするのは大変だよ」
眼帯の下のエルザの右目を見たポーリュシカが呟く。
「そう言わずに頼むわい。せーっかく綺麗な顔なのに不憫で不憫で」
マカロフが言うと同時にエルザは再び眼帯を付け、俯いた。
「ちょっと来なさい」
「痛、痛た!」
そんなマカロフの耳を掴んで引っ張るポーリュシカ。
そして、怒りに似た表情でマカロフを睨んだ。
「大きくなったら手ェ出すつもりじゃないだろうね」
「ま・・・まさかぁ〜」
「どこの子だい?」
「それが、ロブの奴に世話になってたみたいで・・・」
ロブ。
その名を聞いた瞬間、ポーリュシカは声を響かせた。
「ロブ!?アイツ今どこに!?」
「死んだそうじゃよ」
それを聞いたポーリュシカは、辛そうに顔を歪め俯くエルザを静かに見つめた。
「どうだい?」
ぱさぁ、と。
顔に巻かれていた包帯が解かれる。
手鏡に自分の顔を映し、エルザは目を見開いた。
「な・・・治ってる」
「見えてるかい?」
「はい」
右目に物が映っている。
エルザの体が小刻みに震えた。
「だったらさっさと出ておいき。アタシァ人間はキライでね」
そして、エルザは涙を流した。
「治ってる・・・」
それを見たポーリュシカは目を見開いた。
「アンタ、その目・・・あれ?おかしいねぇ」
そう言われ、エルザも鏡に映る自分のおかしいところに気がついた。
「片方だけ涙が出てない」
そう。
左目からは涙が流れているのだが、ポーリュシカによって治された右目からは一筋の涙も流れず、目に涙が溜まってすらいないのだ。
「そんなハズは・・・薬の調合は完璧だったし・・・」
魔法書を捲りながら呟くポーリュシカに、エルザは笑った。
左目から、涙を流したまま。
「いいんです。私はもう、半分の涙は流しきっちゃったから」
そして・・・エルザは宙を漂っていた。
純白の空間に、純白のワンピースを纏った状態で。
―ここは・・・!?―
頭を下に向けた状態で、エルザは体勢を変えようと回転する。
―エーテリオンの中!?いや、違う・・・もっとあたたかくて・・・-
自分が何故ここにいるか。自分の置かれている状況を理解できず、戸惑うエルザ。
体勢を変えた瞬間―――――
―!―
――――全てを、理解した。
―そうか・・・-
宙に浮くエルザの足元には、ギルドのメンバーがいた。
これだけの人数が揃えば、上から見れば服の色は全員違い、カラフルに見えるだろう。
―――――が、今
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