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たちまち遊戯王
第2話 よくならない現実は口に苦い
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 レタウはにっこりと微笑んだ。
「うわぁ、えぐっ。ここから日本に行くのも一苦労なんでしょ」
 鈴瞳は苦いものを舐めたかのように顔をしかめた。
「まぁまぁ、ここのことを嫌いにならないで下さい。楽しむことに貪欲なんですよ。……それで、実物があるということは盗みにも遭うわけです。そして、それを略奪する輩がたむろする場所……『札の墓場』」
「ふ、ふだのはかばぁ……」
 鈴瞳は少し馬鹿にしたように反芻した。
「あなた達に頼みたいのは、『札の墓場』にいるならず者達の退治です」
「……ぁ、はぁ、」
 鈴瞳は曖昧な表情を浮かべた。
「何故国家権力に頼まない?」
 務都弥が急に口を開いた。
「わっ、むっ君いたの?」
 鈴瞳は驚いたように務都弥の方を向いた。
「こんな一般の人間に任せるような事態じゃないと思うが?」
 務都弥は鈴瞳を無視して話を続けた。
「勿論警察には協力を仰いでます。ですが、それだけで解決する程甘いものではありません。そこで、ならず者達を内部からも追い詰める方法を私が提案したんです」
 レタウはそう言うとにっこり微笑んだ。
「ならず者のルールでならず者達から略奪すれば、その分だけ相手の資産を削られる。ならず者達に干渉出来るんです」
「そのならず者のルールとは?」
「遊戯王でデュエルを行い、勝った者は負けた者のデッキを略奪出来るんです」
「……なんか紳士だね」
 鈴瞳は胡散臭そうに目を細めた。
「一種の賭け事の様なものみたいですね。……さて、何か質問はありますか」
 レタウは務都弥と鈴瞳を見回した。埒路は寝ている。
「略奪って犯罪だよね?」
「警察からは特別に許可を得ています」
「カード持ってないんだけど」
「こちらで貸し出します」
「でも負けたら取られちゃうんでしょ?」
「ある程度なら許容出来ます」
「うーむ……」
 すらすらと答えるレタウに対し鈴瞳は渋い顔だ。
「百聞は一見に如かず。後で現場にご案内しますよ。それより私は、2人の実力が見たいです」
「実力?」
「2人でデュエルしてみて下さいよ。それ位ならお安い御用でしょう?」
「まぁそれ位ならいいけど」
 鈴瞳がそう言うと、レタウはにっこりと微笑んでその場を立ち去って、少しして紙を2枚持って戻ってきた
「じゃあ、レシピをここに書いて私に渡して下さい」
「それ、ダジャレ?」
「言われてみればそうですね」
 レタウはクスリと笑った。
「ルールは最新の2月のリミットレギュレーション。1本先取にしましょうか」
「……あの、今思ったんだけどさ、」
 鈴瞳は手を挙げた。
「なんですか?」
「もしかしてそのならず者達も守ってんの制限改訂?」
「そうですね」
 レタウは頷いた。
「そっかぁ、ならず者達がいかつい顔で『黄金櫃制限とか
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