第2話 よくならない現実は口に苦い
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ない。
「やれやれ……今更どうにかなるものでもないのに」
レタウが口だけで微笑むと、務都弥は表情を険しくした。
「冗談ですよ、冗談」
レタウはころころと笑った。
「……」
務都弥は固い表情のままだ。
「でさぁ、お願いって何?」
鈴瞳は口元に手を当てながら呑気な様子で尋ねた。
「そうですね。話を戻しましょう」
レタウは目を瞑った。
「皆さん……遊戯王は、ご存じですか?」
「へゃ?」
鈴瞳は素っ頓狂な声をあげた。
「……知っている」
務都弥は短く答えた。
「……では、どれ程やってますか?」
「10人規模の小さな大会で、大体4位以内」
「あーそいや、むっ君大会にちょくちょく行ってるよねー」
鈴瞳は思い出したように呟いた。
「……それで、鈴瞳さんと埒路さんは?」
「実は結構やってるんだよねー」
鈴瞳はニマッと笑った。
「ルール知らない」
埒路は首をぷるぷると横に振った。
「あー2人もいましたか、これは好都合です」
レタウはにっこりと笑った。
「って遊戯王も知ってるんだ」
鈴瞳は少し驚いたように、目を僅かに開いた。
「知ってるも何も、この国では有名ですよ」
「えぇっ!?」
「昔……ここに2人の日本人がやって来たんです」
「私達みたいに、間違ってつれてかれたのかな可哀想に」
鈴瞳は喋りながら怒りの感情が吹き返したらしい。
「落ち着いて下さい鈴瞳さん。違います、彼らは宣約ではなく彼らの技術でここに来たんです」
「何それ」
前に鈴瞳が、ここと日本の距離を尋ねたことがある。その時レタウは、「ここから日本に行くのは、徒歩で海を渡るようなものです」と答えた。
「彼らがどのようにしてここに来たのかの話は置いときましょう、ともかく、そういう経緯でこの国は初めて日本を知りました。そして、その文化や娯楽を知ることにしました」
「なんで?」
「なんででしょう。暇だったからじゃないですか?」
レタウはいかにもあてずっぽうといった風で答えた。
「……それで、遊戯王が有名になったと」
「そうです」
鈴瞳の総括にレタウはゆっくり頷いた。
「にしてもなんで遊戯王?」
「さぁ?世の中何が流行るか分かんないものですね」
「……なぁんか、分かったような分かんないような」
「それで話を戻しますと、」
レタウは言葉を切って居住まいを正し、3人を改めて見た。
「あなた方2人には遊戯王狩りを止めるのに協力して欲しいのです」
「ゆ、遊戯王狩り?」
鈴瞳は地球外生命体によって絵本の世界に誘われたかのような怪訝な表情をしている。
「ここでの遊戯王カードの扱いは日本と同じです。本物そっくりの実物を使って遊びます」
「え、それって著作権とか……」
「法定で争いますか?」
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