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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第79話 我が前に……
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る封じもされていたはず」

 空中機動は俺の瞬間移動のみに限定し、触手による攻撃を捌く事に専念した崇拝される者ブリギッドが叫ぶように問い掛けて来た。
 その瞬間に再び転移。

「封印は人間を上手い形で操られてほぼ無効化。その後に、封印を護って居た一族は壊滅させられた」

 後方五十メートルほどの地点。つまり、一瞬前まで俺たちが居た場所を炎の触手が嘗めた時、ブリギッドの問いに対して答えを返す俺。
 その言葉に応えるように、急に空中で方向を変えた正面からの触手が襲い来る。

 しかし!
 その程度の。それも、急に方向転換を行ったような勢いのない触手の一撃など、いくら膨大な熱量を持っていたとしても無意味。
 振り抜かれた炎の刀により、あっさりと無効化。

 まるで息を吐く暇もなく連続で転移を行う俺とブリギッド。時間と空間。そして、物理法則すらも無視した機動。
 周囲を雷の気が飛び交い、龍気の枯渇、更に能力の暴走を気にせずに行動出来るこの場、この時故に可能な無茶な行動。

 目の前に立ち塞がる炎の触手。
 触れるモノすべてを燃やし尽くし、魂すらも奪い取る。地獄の業火よりも赤い炎が、見た目はゆっくりと。しかし、現実には瞳に映って居ても、脳がその存在を理解する前に相手を消して仕舞うスピードで迫る。
 そう、それはヤツの信奉者も、そしてそれ以外の存在もすべてヤツの治める魔界へと連れ去られて仕舞うほどの圧倒的な神威。
 これはある意味救いと言うべき状況かも知れない。
 生ある状況で訪れる苦悩も悲哀も辛苦も絶望もすべて失われる、そう言う状況ですから。

 但し、その後に訪れる物が魂の安寧とは限りませんが。

 その瞬間、上空に集まる霊気が強く成って居るのを感じる。これは、マジャール侯爵率いる飛竜騎士団が行使しようとしている大規模儀式魔法が最終段階の入った証拠。
 しかし同時に、俺と崇拝される者ブリギッドを包み込み、呑み込もうとする邪炎の力は、それに倍する速度で膨れ上がって行くのが判る。
 このままでは……。

 間に合わないのか?

 現状では俺たち二人を追っていた炎の触手の攻撃目標が、上空の飛竜騎士団に向かうのはマズイ!

 世界が軋み、異界の侵食は止まず。
 その刹那、再び俺と崇拝される者ブリギッドを襲う炎の赤と雷の蒼。

 咄嗟に起動させた対火焔用の結界で自らと崇拝される者ブリギッドを包み込む。
 口でひとつの呪文を唱え、片手で導引を結び、もう片方の手で別の呪符を起動させる。
 タバサは俺の龍気が向かうべき道を、正しく、そして的確に処理し、過分に供給する事もなければ術を未発の状態にする事もなく、正常にすべての術を起動させて行く。

 今までは方向を搾り、全方位を炎の触手に捉えられないように細
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