第5章 契約
第79話 我が前に……
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たのではなくプラズマ化した、と言うべき現象。超高温の存在が接近した事に因り一瞬にして固体から気体へ、そして、一気にイオン化したと言う現象が起きた可能性が高い。
【悪いな、タバサ。正直、こんなバケモノを相手に五分も持たせられるか判らへんで】
今までの炎系統の魔物とはケタが違う、最早、物理現象として何が起きて居るのか。魔法世界的な意味として何が起きて居るのか……。俺の乏しい知識では現在何が起きて居るのかさっぱり判らない状況。
少なくとも現状の異界化した世界に、クトゥグアの触手が顕われた程度ならば、地球上の大気が一瞬にしてプラズマ化。全生命体が死滅する、などと言う状況にはならない事だけは確認出来て居ますが……。
それでも流石に、これ以上の異界からの侵食が進めば、何が起きるか判らない、と答えるのが正直なトコロ。
しかし……。
【問題ない】
非常に簡潔。但し、それ故に彼女の覚悟を感じさせる一言。
【わたしはあなたと共に在る】
あの炎の触手を真面に貰えば、間違いなく一瞬の内に俺は蒸発。そして、俺と同時に存在して居るタバサの精神体も無事に肉体の方に帰る事が出来るとは思えない。
軽いと後遺症。PTSDのような状態。酷いと魂自体の消滅。その後、緩やかに肉体は死亡へと移行する。
そして当然、そんな事ぐらいなら彼女も理解しているはずです。しかし、その事を知って居て尚、この台詞が出て来るのなら――――
【上等!】
右から接近しつつ有った、炎もたらすモノを右手の刀印が描き出す格子状の光の線が。左から接近しつつ有った個体に関してはその一瞬前に放たれていた呪符が発する浄化の風により無力化する。
そう、この空間。有りとあらゆる物が燃え上がり、瞬間的に高熱を与えられた大気が電離し陽イオンと電子に別れて活動しているような空間は、青竜で有る俺に取って生命力の基礎となる木行の気に溢れた場所となる。
圧倒的な力に満たされ、高らかに笑い出したくなるほどの優越感。この炎に支配された世界を、俺から発する龍気が少しずつ上書きをして行く。
今にも自らの能力に溺れ、際限なく取り込んだ雷の気により暴走を始め、炎の邪神をも呑み込み、其処から更にすべてを破壊し尽くす災厄その物と変わろうとしている俺を、辛うじて現実界に止め置くタバサ。
再び、猛烈な畏れと世界が軋む悲鳴が聞こえる。これは間違いなく――
大地の亀裂から顕われる炎の触手。その周囲では高熱に晒された大気がイオン化し、触手が顕われた大地は、近くは昇華。液体という形状を経ず行き成り気体化。其処から更に、炎の触手に近い位置ならばイオン化をする。そして、触手からかなり離れた位置で有ったとしても溶岩と化す。
刹那、蒼白い光が煌めき、轟音と共に周囲に雷が撒き
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