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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第79話 我が前に……
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 炎の触手が纏う蒼白き雷が次々と俺を撃ち抜いて行く。

 但し、そもそも雷……。雷の気は俺を害する事は出来ない。
 青竜が支配するのは湿った風と雷。電の気はすべて俺の糧……龍気へと変換され、俺自身の活力と成る。

 冷静にそう断じて、視線は接近する触手から、その発生源に移す俺。これは間違いない。あの亀裂の奥深くは時間と空間を超越し、その先は遙か二十五光年の彼方……ヤツが幽閉されている場所に繋がっている。
 そして、もしその触手の根本。生きて居る炎クトゥグア本体がこのハルケギニア世界に顕われたのならば、この世界は煉獄の炎に支配された生命体の住む事の叶わぬ世界と変貌する。

 異常に間延びした時間の中で、三本の炎の触手が俺に向けて接近して来た。

 その瞬間、在り得ない事なのだが、その炎が渦巻く触手の中心で、何か得体の知れない何かが高らかに哄笑を上げたような気がした。

 しかし、今度は右斜め後方に瞬間移動を行いながら、右手の人差し指と中指を伸ばし、残りの三本を閉じて刀に似た形を取る俺。
 そして!

「臨める兵、闘う者、皆 陣破れて前に在り!」

 何もない空中に線が引かれ、それと重なるように、今まさに俺に襲い掛かろうとした触手群の前に光る線が走る。その数は縦四、横に五。
 その線は一気に触手群を包み込み、そして互いに絡み合い、格子状の面を形成して行く。

 そう、それは光が描き出す格子模様の檻。

 光の格子と炎の触手が今、正面からぶつかった。
 それは一瞬の抵抗。その一瞬の後、俺の描き出した早九字に因る邪悪なモノの侵入を阻む結界は、脆くも光の粒子へと散華して仕舞う。
 しかし、その一瞬の時間は無駄とはならない。

 そう。俺が……。いや、俺とタバサが今相対して居るのは宇宙と言う巨大な空間に触手を伸ばす旧支配者と呼ばれる存在。宇宙を燃やし尽くす業火の前には、如何なる抵抗も無意味かも知れない。

 しかし、そう、しかし!
 そんな常識を蹴散らし、無に等しい可能性や希望を掴み取って来たのが俺とタバサの二人。

 分割思考に因る仙術の同時起動。五遁水行の冷気陣をタバサが起動させるのと同時に、水行を以て火行を剋する仙術と、木行を以て葉扇を作り出し、風を発生させる仙術を使用。
 その瞬間、上空から叩き付けられようとする炎の触手に、大量の熱と、そして俺の仙術により作り出された猛烈な上昇気流が激突。

 そのまま進めば間違いなく俺を捉え、生命などあっけないほど簡単に焼失。魂の残滓さえも探す事は不可能な状態と成る。その神の一撃が僅かにぶれる事に因り、炎を剋する仙術と冷気陣の効果と相まって身体の方は無傷で危うく虎口を脱する。
 しかし、その一撃に因り、大地は深く抉れ――――
 いや、その現象は大地が抉れ
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