2部分:2:『凪』を目指して
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という事が…『弾き』『捌き』…そして、『制空圏』、視覚だけに頼らず、五感すべてを研ぎ澄まし見えてくるものが必要だと。
何度も繰り返す、修行…毎回毎回死角からの木材で失敗する、いまだ視覚に多くを頼り、その先に進めていない、その証拠…そして、それを見てる者がいることにも気付いていない。
赤い髪をした少女と、青い毛の大型犬…此処暫くで町内の名物の一つになった光景だ…大型犬を散歩するのは、引っ張られればそのままいくらでも引きずられそうな少女なのだ。
「あっちーぞ、ザフィーラ、これ帰りにアイス買ってもはやてゆるしてくれるよな?」
「(お前はアイスが食べたいだけだろう、ヴィータ)」
呆れたような念話が少女の言葉に返される。
「うっせ、んじゃお前はアイスいらねーのかよ?」
「(それとこれとは話は別だ…ん?」
「どうした?」
「(いや、あちらから呻き声が聞こえた気がしたんだが)」
「ん?…たしかに、なんか聞こえるな、いってみるかっ」
「(構わんが、厄介ごとなら直ぐ離れるぞ、主に心配をかけられん)」
「わーってる、つーの」
少女…ヴィータと、大型犬…ザフィーラは、声のほうに近づいていく。
少し木々の中に入った所でうずくまる少年、その回りには、ロープでぶら下がった木材があり、ロープ同士もつながっている。
「(なんだ、あれ?)」
「(……ふむ)」
二人が見ているのに気付いていないのか、少年…良彦…は、再び立ち上がり木材を殴りつけ、襲い来る木材を『弾き』『捌き』…死角からきた木材に当たり、うずくまる。
「(あれ、何してんだ?)」
「(恐らくは、あの木材を避ける事による修行、なのだろうが…目にばかり頼って、死角からの物に対応しきれていない、な)」
「(はぁっ、てか、ガキ一人でんなことやってんのか?)」
「(少なくても、基礎はできてるように見える…拳のうちかた、体さばき、上体の動かし方などはしっかりしているな)」
「(つっても、ただの木材とかじゃ、あの年のガキじゃ、よけれねーんじゃね?)」
「(あぁ、指導者がいれば、別だろうが…あの少年は、視覚に頼りすぎている、木材には殺気などないし、五感で感じねば無理だろう)」
「(まぁ、いいや…そろそろ、もd)」
きびすを返そうとした瞬間…何かに気付いたかのように、少女の視線が少年と重なる。
「頼むぜ鉄槌の騎士!」
「そっちこそな、清風の騎士!」
一瞬の幻影、見たのはどちらか…少年か、少女か、此処に、鉄槌と清風の物語が、再び交差を始める。
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