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『曹徳の奮闘記』改訂版
外伝その一
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、仲の頃よりは若干賑わいは下がっている。

「また税収が増えるらしいぞ」
「またかよ。こう小刻みに増えていくと俺達のカネが無くなるぞ」
「袁術様がいた時はそんな事は無かったのにな……」
「けどその袁術様も俺達を置いて逃げ出したじゃないか」

 市場では人々がそう話していた。

「俺の息子が仲軍にいたんだが、袁術様は此処が戦になるのを避けたらしい。此処が戦になっていたら今頃は荒廃していたぞ」
「そりゃあそうだがよ……」

 蜀の評価は様々だった。仲の時代を懐かしむ者もおり、逆に三国が統一されて平和な時代になったと言う者もいた。

「……私達は正しかったのだろうか……」

 私は人混みにまぎれながらそう呟いた。それから月日は二年と半が過ぎた。
 私は未だに司馬懿殿の家に厄介になっており……というより私が司馬懿殿を世話をしている感じだ。
 暇があれば司馬懿殿は本を読んでいるから気を付けないといけない。(最初の頃は風呂に入ってなかったから臭かったりもした)
 そんなある日、私は夜半に物音がして目覚めてゆっくりと外を見ると人々がいた。
 まさか気付かれたのか?

「司馬懿殿……」
「判っているわ。こんな事もあろうかと地下通路を作って逃げ道もあるわ」

 司馬懿殿はそう言って床に木材を開けると穴が開いていた。よくこんなのを……。

「御免ッ!! 司馬懿様と劉ソウ様は居られるであろうか」
『………』

 私は息を飲む。隣にいた司馬懿殿もそうだ。

「我々は元仲の兵士であります」

 その言葉に私は一瞬迷ったが、意を決して扉を開ける。もし、敵であれば司馬懿殿を逃がすしかあるまい。

「おぉ劉ソウ様ッ!!」
「司馬懿様も居られるぞッ!!」
「お前達は……」
「先程も仰いましたが、我々は袁術様に仕えていた者達です。内密な話があります」
「……入りなさい」

 家主である司馬懿殿は許可をして皆を中に入れた。

「それで……今更敗軍の将である私らに用とは何かな?」
「……単刀直入に申し上げます。決起しませんか?」
「決起……だと?」
「その通りです。反乱です」

 反乱とは……。

「どういう事だ? 今は平和な時代だろう?」
「確かに。三国は統一されて平和な時代です。ですが、税は前の三倍に増やされ貧しい人々が増えているのが現状です」

 確かに。市場の隅に貧しい人々が座り込んでいたりしているのが増えている。蜀の内政は諸葛とホウ統、北郷がしていたが人数が不足していて滞っているらしい。

「蜀の無茶な税収に娘を売ったりする者も増えています。蜀の内政に不満を言う者達も各地で増えており、これは蜀内でもいるようです。そるに仲を懐かしむ者達もおります」
「……それで反乱するのか?」
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