7-3話
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つの間にこんなに近くに来たのだろうか…それは振り返らずもジェニアリーさんのものだとわかった。
飛行機の前部から伝わってくる喧騒に紛れて近づいたのだろうか、全く気付かなかった。
「悪いけど―――返事は聞かないから連れて行くわ」
続けて、背中越しに耳打ちしてきたその言葉の意味がわからなかった。
反射的に「何を…」と口にしたところで、私のお腹に手を滑り込んできた事に気付いた。
私の体はグン、と後ろに引き寄せられた。
お腹を抱き留められた腕が私の体を軽く持ち上げて、景色に眼が追いつかないほど速さで連れ去った。
肺の中の空気を吐き出してしまうような圧迫感を覚えながらも、その勢いは止まらない。
一瞬、昇るような浮遊感を感じた。
その時、景色が緩やかに止まり、鮮明になった光景が私を包み込む。
その光景を見て、自分の状況を思い知らされる。
「うぁっ、ぁ…はぁっ…あっ―――!?」
信じ、られない。
私は空を飛んでいた。 跳びながらにして、飛んでいた。
突然の視界の変化に動揺し、口から悲鳴すらうまく出てこない。
ジェニアリーさんの…私を連れ去りながら躊躇いのない跳躍によって、私は高い位置から眼下の怪物達を見下ろしていた。
私が眼にしたのは―――飛行機の外に投げ出されていた自分の視界だった。
何かのしがらみが遠くなるような、大気の壁が肌を撫でる感覚を覚える。
滑空してるかのような飛距離でどんどん飛行機から遠ざかり、そして私はそのまま森の中へと落ちていった。
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