7-3話
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「残酷すぎるだろ…っ!」
口々に開くのは文句と非難の言葉。
ざわざわ…と、その周りでは声高らかにしない者が隣同士で陰口を囁き合っている。
「(ひどい……)」
あの人はあなた達に何をしたと言うの?
さっきまで怯えるだけで壁にへばりついてまで縮こまっていた連中がスイッチが切り替わったような態度だ。
卑屈だ……見ててみっともない…。
この環境でのストレスなのか、それとも集団の意識がそうさせるのだろうか?
対象が怪物から“人間”の女性にすり替わった途端、集団でいたぶる事に抵抗を覚えていない。
なんだか…連中を傍から見ていると、汚らわしいモノに見えた。
「………」
心無い非難を受けているジェニアリーさんは何も反論しない。
目つきを少し険しくさせて沈黙する。
だが、周りの言葉を無視して、彼女はため息混じりに小さく呟いた。
“―――…災難なのはアタシか”。
呟いた言葉は私の耳に届いた。
それだけ、周りの声が雑音のように耳障りに聞こえたからなのかもしれない。
彼女の…ジェニアリーさんの言葉は、どこか失望が込められているような気がした。
その同じ枠に私が含まれていると思われていると…自分の立ち位置から離れたい気分にさせられた。
この人達と一緒にしないで欲しい。
なぜか、私はこの人にそう伝えたいと思っていた。
「―――!!」
だがその前に…何かが、強い力で背中を押してきた。
「な…何っ…!?」
たたらを踏んで体勢を持ち直して、振り返ると…そこは剣呑とした雰囲気が漂っていた。
人の壁が波のようにうねり、怒りを孕んだ声でざわめいていた。
何かが起こっている…人達が怒っている。
「どういう事だよ!?」
「それって本当なのか!?」
「それじゃあ…それじゃあ俺達おしまいじゃないか!!」
声から声へと人は口調を張り上げる、そのどれもはストレスを爆発させたような声色が伝播して押し寄せてくる。
後ろで何があったのだろうか、明らかにただ事じゃない。
ただ、私はこの剣呑とした雰囲気に思い当たる想像があった。
「(暴動……)」
脳裏に浮かべたそれと、彼らの行動は似ていた。
怒りを露にしてバッシングする、やっている事は同じだ。
声から人へと伝播し、鬱憤としたストレスが炎上して膨れ上がってきているのが見て伝わった。
一体何が……何がここまで人を怒らせるのか、不満という見えない何かが波となって飲み込んできそうだった。
「これはいけないわね」
「っ!?」
不意打ちで背後から掛けられた声で、私の体が跳ね上がった。
い
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