7-3話
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はあるのに、答えが全く出ないからだ。
ただただひたすらに恐ろしい、あんな怪物の存在に答えなんてどこにある?
「く、来るぞおおおお!!?」
っ!?
私の安堵の間に付かせる暇もなく、それは追い立ててきた。
出入り口の外にあるシューター近くに身を寄せ、眼下にはあの怪物が這い上がってきていた。
犬のような頭部が、一口で人を喰らってしまいそうなその顎から生臭い息を零しながら、坂を這い上がってきていた。
「ひぃっ!?」
「き、来てる、来てるッ!!?」
「おい、何とかしろよ! 何かモノでも投げて…早く!早くッ!!」
私はジリジリと近づいてくるその怪物から逃げたくて、でも逃げられなくて、あっちに行ってほしいとひたすら願い続けて目を離せずにいた。
その横で、各々の人が手に様々なモノを持ってあの怪物に投げつけた。
だがそんなものが効くわけがなかった。 怪物は顔の面でそれを受け止め、弾いて、平然と歩を進める。
拳程度の石があったとしても人が投げた程度としてもその厚い面に通じるようには思えなかった。
ついに…そいつはあとすぐそこにまで来ていた。
モノを投げていた人はその距離に恐怖が限界に達し、みんな出入り口から離れて壁に背を付けた。
―――グロロロロォ……。
喉を鳴らして這い上がってきた怪物は獲物を見回した。
周りには逃げようとするだけで抵抗する意思のない人たちばかりで、誰も脅威を感じさせない。
逃げる存在と狩る存在が決定的に区別されていて、壁のような巨体が出入り口を塞ぎ、逃げ場所になるはずの機内は絶望的な窮地が出来上がった。
「(嗚呼……ダメだ……もう、ダメだ…いや……アキラ、君……)」
動けない。 口も開かない。
恐怖で私は固まっていた。
叫びたいのに、悲鳴を上げたいのに喉が枯れたように詰まっていて、獣臭い脅威を前に私は硬直している。
殺される。
喰われる。
もうおしまいだ。
私は諦めきれないのに、ここで死ぬのかと思った。
怪物が私に近づいてくる、その前に…蒼が舞い降りた。
「―――」
その光景に私は呆気にとられた。
怪物の背に降り立ったのは蒼い髪を靡かせた女性。
それは羽が留まるように軽やかさ。
不安定な足場であるはずの怪物の背中に飛び乗って完全に鎮座して見せた。
彼女の上には、十字架のような形の剣が振りかざされていた。
―――ヒィン!
空を切るような鋭い音が鳴いた。
怪物のガラ空きの首に450度の孤を描き、袈裟まで振り抜いて銀光が閃く。
『…―――』
誰もがその光景に言葉をなくし、周りが静かになる。
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