7-3話
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な口で皆を追い立て始めたのだ。
狩られるだけの無力な存在となると、誰もが正常ではいられなくなり、混乱しながらもあの化け物から逃げようと必死になる。
私もその中の一人だった。
「グアアァぁぁ!!」
「や、いやだっ……い、ぎいいぃ!?」
「うわぁあぁぁぁああ!!」
絶叫が響き渡る。
逃げきれずに犬のような猛獣に捕まって、その巨大に口に捕らえられた者が出始めた。
悲鳴が恐怖を駆り立てる。
死にたくない、と喰われたくない、とそれだけで頭が一杯になった。
この時点で、私の頭がプッツリと記憶が飛んでいたのだと思う。
それから走り回った。
目の前に犬がいれば、反転して反対方向に逃げる。
そんな逃走をしばらく繰り返していた。
闇雲に逃げても死ぬのは確実だった。
周りは取り囲まれて、森の中に逃げようと考える頭すらなかった。
それでも私は助かったのは、明確な逃げ場所となる象徴があった。
視線の先には、巨大な鉄の塊……飛行機がそこにあった。
鉄の塊というだけであそこに逃げれば何とかなる、少なくともこんな隠れる場所も何もない所よりは安心の差が違った。
そしてそこにはシューターがあった…!
飛行機の出入り口から伸びている滑り台。 あそこを登れば…と、同じようにそう考える者が何人もいて群がるように殺到していた。
私もその一人になって、坂を上った。
登り難い…。
降る事はあれど、登るためのものじゃないソレは重力という理不尽な力が伸し掛る。
その重力に負けたのか、それとも手を滑らせたのか、私の横で上から誰かが転げ落ちていった。
そしてその直後に…断末魔が響いた。
「ギャアアァァァ!!」
振り返ればその下には口を開けて待ち構えているあの怪物が待ち構えていた。
滑り落ちるのを待つだけで獲物が転がってくる…そんな怪物にとっておいしい状況が出来上がっていて、私は命の危機に体が凍るような思いを覚えた。
助けて、助けて、助けて、助けて!!
ひたすら、心の中でそう唱えて、あの恐ろしい怪物の所へと私を突き放そうとする重力に逆らってシューターの上に登った。
無我夢中に登って…飛行機の中に逃げ込んで……頭の中が、グチャグチャになっていた。
―――それが、数分間の私の行動だった。
夢だと思いたい。
だけど、あれは夢と思うには恐ろしすぎて…人が食い殺された。
あんな怪物が存在するのか、と思うよりこんな理不尽があっていいのか、という怒りを含んだ嘆きがあった。
「はぁ…ぁ……何が…何なの……何、一体……」
絞らせた声ではそれしか出なかった。
頭一杯に疑問
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