7-3話
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何なの…?
一体何が起きたの?
頭が混乱して理解が追いつかない。
わけがわからなくて、ひたすら恐ろしくて…頭の中が綯交ぜになって、記憶が混乱していた。
私はいつの間にか貪るように酸素を欲してヒューヒュー、と荒い呼吸をしていた。
顔は涙でグチャグチャになっていて、喉奥からせり上がるように嗚咽を漏している。
自分の顔は…どんな表情になっているのかわからない。 少なくとも、笑顔を浮かべられるような気分でない事は確かだった。
どうして私はこんな状態になっているのか?
どうして私はこんなにもみっともなく涙を流して、平静を失ったような有様なのだろうか?
記憶が混乱するほど、私の身に何が起こったのか。
断片を拾い集めるように、空白となっている自分の記憶を探る。
その思考は数分ほど前の記憶を遡った。
―――。
「―――来る」
その第一声から始まった。
文明も何もない、無人島らしき島に漂着して何度目かの夜。
暖かいベッドもない、熱いお風呂もない、そんな状況の中にいて数日…皆が無理に笑っているけど、いつその表情が崩れてもおかしくない。
皆で一緒に固まっていても、安心できるとは思えないサバイバルな生活にストレスを感じている。
何かの拍子にそのストレスが爆発してしまいそうで、それでも皆は一塊になって救助が来るのを切に待っていた。
そんな時に…“ソレ”は現れた
奇妙なほどに歪な頭部をさせ、尖った石を並べたような歯を剥き出しておぞましさを形にしていた。
焚き火の灯りの中に入ってきたのは、奇っ怪な風貌をさせた体が半分が頭部で占めている犬のような怪物。 化け物。
バランスのおかしいその頭部には獰猛な瞳が付いていた。 獲物を前にした肉食獣のような野性的な危険を漂わせるソレは…世のモノだとは思えないほど恐ろしい。
「キャアアアアアアアアアアア!!!」
誰かが叫んだ。
一体どこから、と視線を流すとそこには恐ろしい光景が広がっている。
私はいつの間にこれほど視野が狭くなっていたのか、あの化け物が更に一体…二体……暗がりに隠れてまだそれは私達を取り囲むように姿を現した。
しかもそれは……人間に食らいついていた。
まるでオヤツの骨を咥える犬のように、人間の胴体を丸ごと口の中に収め、宙に浮かせている。
巨大にして怪力、しかもそれは戯れではなく、あの石を並べたような口を使って本気で人間を喰おうとしているのだ。
「逃げろおおぉぉ!!」
「化け物だあぁーー!!」
「いやぁぁああ、助けてえぇぇ!」
一転して地獄絵図となった。
化け物がその巨大
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